近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、「家を買おうと思っていたけど、今はタイミングじゃないのでは?」と不安に感じている人も多いのではないだろうか。
そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決するために住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では、著者の江口亮介氏のインタビューをお届けする。

マンションPhoto: Adobe Stock

「いつまでも家を見つけられない人」と「短時間でいい家を見つけられる人」の差

――近年の住宅購入は、かなり情報が手に入りやすいこともあり初心者でも注意点が抑えやすいように思います。そんななかでもあまり世の中に出ていない注意点があれば教えてください

江口亮介(以下、江口):世の中にあまり出ていない住宅購入の注意点としては「顧客としてのスタンス」が挙げられます。

 おっしゃる通り、近年では住宅購入を検討される多くの方が、しっかりと情報収集し、丁寧に購入をすすめています。

 しかし、そんななかでも見落とされがち、かつ「いい物件にめぐり会えるか否か」の差になりやすいのが、「顧客としてのスタンス」です。

――それはどういったものなのでしょうか

江口:一言でいうと「不動産営業に優良顧客と思われるかどうか」ということです。こういった話をすると、「どうして不動産会社が顧客を選ぶんだ!」とよく言われるのですが、それには「不動産取引の特殊性」が関係しています。

 不動産とは、この世にまったく同じものは存在しません。そのため、ひとつの物件を複数の人で取り合うということは頻繁に起こります。

 その際に、皆さんが売り手や不動産営業だったらどんな人に売りたいと思うでしょうか。当然、「いいお客さん」ですよね。

 通常の消費活動であれば、同じ商品がいくつも存在し、基本的に売り手は買い手に「買ってほしい」と考えます。

 ただ、不動産においては「この人に売りたい」と売り手が選べる部分が大きく、いい物件に出会いたければ「優良顧客」であることが求められるのです。

――ありがとうございます。ロジックは大変よくわかりました。ただ、どうしたら優良顧客になれるのでしょうか

江口:不動産会社から見て、優良顧客に見える条件は3つあります。それは「買う意思がある」「条件が明確である」「ローン審査も通る(審査に出す意思がある)」です。

 不動産営業にとって見ると、いい物件が出てきたときに、それを顧客に紹介したいと考えているのは自分だけではなく、他にも多くの不動産営業たちがそれぞれの顧客にその物件を紹介しようと動いています。

 それであれば、しっかりと買う意思を示してくれる顧客から優先したくなるのは当然でしょう。

 なにもこれは、買う側が不動産に詳しくなければいけないという意味ではありません。ただ、「買う意思がある」「条件が明確」「ローン審査に出す意思がある」人は、営業担当からすれば、自分がサポートできることが明確になるため、自然と優先順位は上がりますし、いい物件も紹介しやすいのです。