若者の同意や感謝を鵜呑みにしてはいけない

おじさんが「教え魔」になる納得の理由…苦笑いの若者に「なんでもオレに聞きな!」医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)

「飲みニケーションが大事」
「一対一のほうが腹を割って話せる」
 
これも通用しません。

 部下を飲みに誘っただけでアルコールハラスメント(アルハラ)やモラルハラスメント(モラハラ)と扱われてしまいますし、男性の上司が女性の部下と一対一で話す状況をつくったら、セクハラといわれかねません。
 
 事実、一部の外資系企業などでは、男性社員と女性社員が同じ部屋で一緒になるときは、必ずドアを開け放つというルールを採用しているほどです。

 すべて親切心でやっているのにどうして。
 
 そう思うかもしれませんが、相手はそれを親切とは受け取ってくれない可能性がある(というよりその可能性が高い)ということを、今一度、強く心に刻みましょう。

 笑顔で「わかりました」「ありがとうございます」と返してくれたとしても、それが本心ではないかもしれません。内心では「嫌だなぁ」「面倒くさい」と思っているのが、今の若者です(もちろん、そうではない人もいますが)。
 
 飲みに誘った部下がついてきてくれたことに気をよくし、「本当は早く帰りたいんだけど、お前のためだからしかたねーか(笑)」などと軽口をたたいている裏で、じつはあなたよりももっと早く帰りたがっている部下を引き留めてしまっている――この現実を理解しましょう。

 若い世代の人たちと良好な関係を築き、「仲間の壁」を解消するためには、常識や社会構造の変化を受け入れる必要があります。
 
 若い人たちも、年長者を「老害」と決めつけて、いっさい耳を貸す気がないわけではありません。押しつけがましくなく、納得のいくことであれば、ちゃんと話を聞いてくれるでしょう。お互いに歩み寄り、妥協点を見いだしながら、うまく付き合っていくことを目指せば、状況は大きく改善するのではないでしょうか。