――なぜ、「次が決まるまで辞めるな」なのでしょうか?

「期限を決めて休む」は
難しいこと

 僕は「キャリアにおいてブランクは怖い」と、まだ思ってる世代なんです。

 一度仕事を辞めて働かない時期が長くなると、再び働く気力がどんどん衰えていくというか、「ちょっと実家帰って2カ月間だけゆっくり考えてみようと思います」って言った人がそのまま2年も何もせずに過ごしていた、とかよくある話だと思っていて。

「転職先を決めずに会社を辞めてもいい?」→人気作家の答えが納得すぎて、ぐうの音もでなかったカツセマサヒコさん最新刊『ブルーマリッジ』(新潮社)発売中! ――出逢って8年。付き合って6年。同棲を始めて2年。もう僕らのあいだに、新鮮な出来事はほとんど残されていない。 いつものスペインバルで年上の彼女にプロポーズした青年・雨宮守。長年連れ添った妻に離婚したいと告げられた中年・土方剛。世代は離れ、生き方も価値観も正反対だったふたりの人生は、社内のある疑惑をきっかけに変化し始める。 夫婦であること、家族であること、働くこと、生活すること、傷つけること、生きること。 過去からも未来からも逃れることのできない世の中で、それでも光を求めて彷徨う者たちの物語。

 自分で期限を決めて休むって、結構難しいと思うんですよ。

 誰かに決めてもらわないと、いつまでも先延ばしにできちゃうので。僕の原稿もそうですけど、もしも締切がなくて「そのうち書きましょう」なんて言われてると、いつまでも「そのうち」が来ないままでいられちゃうんです。それと同じ感覚で、次を決めないで辞めるというのはなんとなく怖いことだと思っています。

 だから「次の仕事は休みながら探します」と言われると「もうちょっと頑張ってみて、今の職場にいるうちにある程度方向性だけでも決めてみたら?」と言うようにはしてます。

 もちろん、先ほども言ったとおり、心や体を壊して休む場合は、後先なんか考えずにまずは回復に徹するべきだという前提があることは言うまでもないですが。