関西電力の榊原定征会長関西電力の榊原定征会長 Photo:JIJI

関西電力が26日に開催する定時株主総会で、元東レ会長で関電会長の榊原定征氏の解任案が株主提案として出されている。公正取引委員会が2023年3月に複数の大手電力会社へ下した巨額カルテル事件の処分に絡んで、榊原氏の責任を追及したものだ。やや時機を逸した提案のようにも見えるが、株主のジャッジは?(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

会長兼指名委員会委員長の
元東レ、榊原氏に解任案

 不正の再発を防ぐには、責任の所在を明らかにし厳正に処分すべきだ――。

 巨額カルテル事件を巡り、26日開催予定の関西電力の定時株主総会で、元東レ会長で経団連会長も務めた関電会長の榊原定征氏の「取締役解任案」が一部株主から提案されている。

 公正取引委員会は2023年3月、中部電力、九州電力、中国電力に巨額カルテル事件に関する処分を下し、認定されたカルテル行為のプレーヤーには関電も含まれた。関電はむしろ“主犯”であったが、真っ先に公取委へ事件を自己申告していたため、課徴金は全額免除となった。中国電が3社の中で最多の707億円の納付命令を受けたことから、関電が仮に課徴金納付命令を満額で受けていたとすれば、その額は数千億円規模だった可能性が高い。

 関電はその後、当時の幹部の社内処分や再発防止策を発表した。他の3社と異なり公取委の認定を受け入れた一方、新旧取締役は一部の株主から株主代表訴訟を起こされている。

 さて、その関電で2020年から取締役会会長を務めるのが、前出の榊原氏だ。関電は同年、社外取締役が強い監督権限を持つ指名委員会等設置会社へと移行した。原子力発電所の立地関係者から関電経営陣が小判を受け取っていた、いわゆる「小判事件」後のガバナンス改善が期待され、財界の超大物である榊原氏は役員人事を担う指名委員会の委員長も務めてきた。

 なぜ、そのガバナンス改善のキーマン榊原氏に関し、定時株主総会で解任案が突き付けられるのか。このタイミングで解任案が出された背景も含め、次ページから解説する。