仕事に手をつける前にこのような「仕事の時間換算」をしておけば、いつ上司に「進捗は?」と尋ねられても、数字で答えることができます。

 回答例としては、「すでに9割がた完了しています。あと30分もあれば完成する状態です。遅くとも明日の朝9時にはチェックしていただけるよう提出します」といったところでしょうか。

 つまり、仕事量を何らかの形で数値化すれば自動的に進捗も数字で表現できるということです。そして誰でもできるもっとも簡単な数値化の方法は、仕事を時間に換算することです。

タイパ重視のビジネスパーソンは
「仕事を捨てる発想」が必要だ

 実はこの仕事を時間に換算する考え方は、進捗を数字で表現する以外にもう1つメリットがあります。それは自分自身の仕事に「捨てる発想」を持ち込めることです。

 たとえばあなたが現実的に仕事に費やせる時間が100だとします。一方で仕事を時間に換算してみた結果が110だっだとします。あなたはこの仕事を完了することができるでしょうか。当然ですが答えはNOです。数字がそう示しているのですから、物理的に不可能です。

 ところが私たちはこのような場面において、つい「頑張る」「なんとかする」といった耳当たりのよい表現を好みます。数字はそれを明確に否定していますから、不可能なものは不可能なのです。仕事を取捨選択したり、時間短縮のための創意工夫をする方向に「頑張る」をシフトするべきでしょう。

 いまの新入社員のみなさんは、タイパ(タイムパフォーマンス)が求められる時代のビジネスパーソンです。タイパとは、たとえば少ない時間で効率よく成果を出すといったことです。10年前の「頑張る」と、これからの「頑張る」は同じではないということ。時間は有限です。「上手に頑張る」を目指しましょう。

 数字を使って「報告・連絡・相談」をする際に重要なことは、ほかにもたくさんあります。たとえば一桁レベルまで正確に伝える局面なのか、ざっくり伝えれば十分な局面なのかを正しくつかむこともその1つです。

 次の金額を読んでみてください。

52、438、921(円)

 口頭表現では「ごせんにひゃくよんじゅうさんまんはっせんきゅうひゃくにじゅういち(えん)」となります。最初の「ごせんにひゃくよんじゅうさんまん」くらいまでならどうにか聞いていられますが、後半はもうどうでもいいと思ってしまうのは私だけではないはずです。