「相手が欲しがっている情報は何か?」
という視点を持っておこう

 正確に数字を伝えなければならない場面では、もちろん正確に伝えてください。たとえば、企業の決算発表などはもっともわかりやすい報告の場ですが、そんな状況において口頭で説明するときなどは正確な数字で伝えなければなりません。

 一方、ざっくり伝えれば十分な場面。たとえば、会議直前で時間がない上司に対して30秒程度で簡単に状況報告をするときなどです。だいたいどれくらいだったのか。要するによいのか悪いのか。それがわかれば十分な状況ですから、およそ5200万円という伝え方で十分でしょう。次の図の3つのケースでその感覚をつかんでください。

図表:「正確」と「ざっくり」の使い分け例同書より転載 拡大画像表示

 ここでお伝えしたいのは、正確な数字とざっくりな数字を使い分けるということ。そしてそのポイントは、自分がどう伝えたいかではなく、伝える相手がほしいものは何かを考えることです。

 たとえば〈ケース1〉では相手が本当にほしいのは数字そのものではなく、「しっかり調査した」という証です。ですから数字は正確なものでなければなりません。

〈ケース2〉では、相手が「だいたい」といっていますし、まだ商談中の段階ですから、ざっくりな数字で構いません。その後、相手が最終的な社内稟議にかけたりする際には、逆に正確な数字が必要になることでしょう。「そのとき相手がほしい情報はどちらか」という視点が必要です。

〈ケース3〉で2パターン紹介したのも同じ理由です。判断基準はやはり「相手がほしい情報はどちらか」です。

 誰しも、ほしいと思っているものを提供してくれる人には好意を持つもの。このようなちょっとした視点を持っているかどうかで、あなたへの評価もまったく違ったものになります。ぜひ意識して数字を使って伝えてください。