この例は3カ月分しかデータがない状況でしたが、もし過去のデータが1年分あるケースなら、考え方も少し変わります。

 たとえば、その1年間ずっと前月比が90%程度で推移してきているのなら、それは極めて強い傾向です。わざわざ平均値を計算するよりも、その傾向を優先して予測の根拠にすることをおすすめします。

 極端な話、3年間ずっと前月比が90%程度で減少傾向が続いているのなら、シンプルにその数字だけで予測を語ったほうが納得感もあるでしょう。

「数字」にはさまざまな加工の仕方があり、ケースバイケースで根拠のつくり方を判断していく難しさがあります。ただ、判断基準はあくまで「もっとも納得感ある根拠」と考えて数字に触ることを基本としましょう。

ざっくり置き換えられれば
仕事の進捗も数値化できる

 ビジネスシーンでは進捗の報告を求められる機会もたくさんあります。そんなとき、相手が正確に状況を理解できるように、進捗を伝えたいものです。

 そこで、誰でも仕事の進捗を数字で説明できるテクニックを1つ紹介しましょう。進捗を数字で表現しやすい営業やマーケティングといった職種はもちろん、具体的な数値目標がない仕事をされている方にも応用できる方法です。

 そもそも、なぜ営業職は自分の仕事の進捗を数字で表現しやすいのでしょう。それは、その人の仕事が「今月の受注目標」などといった数値で置き換えられているからです。たとえば、「目標30件、現在3件、進捗率10%」といった具合です。

 言い換えれば、どんな仕事でもざっくりで構わないので数値で置き換えてしまえば、その仕事の進捗も必ず数値化できるはずです。

 たとえば「来週の会議で使う資料をつくる」という仕事があったとします。この仕事に取りかかる前に、どんな作業があって、それぞれ何時間かかり、合計するといったい何時間必要な仕事かを推測し、時間を見積もってみます。

図表:「資料作成」という仕事を時間換算する同書より転載 拡大画像表示

 このような場面では正確に時間換算する必要はなく、ざっくりで構いません。こうすることで仕事の進捗をいつでも数字で報告できます。

 まだデータ収集が終わった段階なら「進捗率40%です」と報告すればいいし、あとは体裁を整えるだけの状態なら「進捗率90%です」と報告すればいい。