大流行のインデックスファンド
その意外な落とし穴とは?

 またインデックスファンドの人気の理由は、それだけではありません。現在のところ、運用成績がいいというのも事実です。

 最近、投資を始めた若い人たちの間で人気なのは、米国株や世界の株式にまとめて投資できるインデックスファンドです。S&P500関連のインデックスファンドを聞いたことがある人もいるかもしれません。

 これはアメリカを代表する企業群の株価をひとまとめにしたものを指します。グローバル株式関連のインデックスファンドを買うと、世界経済をリードする各国の企業へ投資ができます。

 インデックスファンドの中には、たくさんの企業の株式が組み込まれているので、分散投資にもぴったりです。毎月、コツコツと積み立て投資をする人には、よい財産づくりになるでしょう。

 ただし、ひとつよくよく注意してほしいことがあります。運用成績のことです。

 株式というのは、とても古くからある金融商品です。17世紀ごろ、大航海時代末期のヨーロッパで生まれ(他説もあり)、同時期に株式を対象とする証券取引所も設立されました。日本では西欧のシステムを取り入れ、1878(明治11)年に証券市場が誕生しています。国内だけで見ても、150年近い歴史があるのです。

 一方、インデックスファンドというのは、とても新しい金融商品です。アメリカの運用会社バンガードの創立者、ジョン・ボーグル氏が、1976年、世界初の個人向けインデックスファンド「バンガード500インデックスファンド(現在名)」を設立しました。

 すべての投資家に、低コストの投資機会を提供したいという考えからです。ただし、運用当初は成績が低迷して、評判はいまひとつでした。

 ところが1982年からアメリカの株価全体が大きな上昇トレンドに入っていきます。突然、景気がよくなってから株価が上がったのではなく、先進国を中心に、世界の人たちがコツコツと積み立てた年金マネーが激増し、これを運用するために株式を爆買いしたのです。

 この40年間、インデックスファンドは株価上昇と金融緩和政策の波に乗って、成長に次ぐ成長を続けてきましたが、この先はどうなるかが心配です。おそらく、初めての体験となる冬の時代に突入するでしょう。

 世界的なインフレと金利上昇によって、世界の株式市場と金融マーケットが大きく崩れだしても、おかしくないのです。そうなると、株価全般が大きく下げるのは避けられないでしょう。