試乗途中から小雨に見舞われ路面が滑りやすくなるとNISMOの個性が一段と浮き彫りになった。限界域でも運転操作に対して忠実に応答する特性がよくわかる。やや攻めぎみにパイロンスラロームを試し、後半で発散ぎみの挙動が出ても簡単に立て直せる。VDCの介入は的確で、ドライビングをまったく邪魔しない。
高速でのレーンチェンジでは、操舵したとおりフロントが遅れることなく向きを変え、リアは挙動を乱すことなくついてくる。B9は車両後方に容量の大きなバッテリーを搭載するが、その影響を感じさせない。
より速く、気持ち良く、
安心して走れるクルマ
アリアNISMOは、“より速く、気持ち良く、安心して走れるクルマ”に仕上がっていた。トータルバランスが高く、軽快な中にも濃厚な走りの味わいがある。
日本はBEVで出遅れていると評される場合が多い。その背景には、BEVの車種数が圧倒的に少ない実情はもちろん、欧米車のようなスペシャル感のある高性能BEVが存在しなかった商品構成も影響していると感じている。
新登場のアリアNISMOは、日本車として初めて新たな世界に一歩踏み込んだモデルに違いない。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一朗 写真/横田康志朗)