医薬品卸大手の東邦HD「日大事件」の証拠資料で歪な取引が露呈、メーカーからの契約解除リスクもPhoto:医薬経済社
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 裏金づくりについて「知らなかった」で済まされる話なのか。

「日本大学事件」の証拠資料(供述調書)により、東邦ホールディングスが日大関連病院での医療用医薬品の値引き分の一部について、ペーパーカンパニーの「インテリジェンス」にコンサルティング料として付け替え払いしていたことが、明らかになった。

 東邦HDからインテリジェンス名義の口座への入金は、17年10月~20年4月までの2年半もの間に、10回以上に及ぶ。金額は1億円を超え、結果的に日大の田中英壽理事長(故人)、医薬品調達などを主導した元理事の井ノ口忠男氏や関西の病院グループ「錦秀会」理事長の籔本雅巳氏に不正資金として流れた。

 東邦HDは本誌取材に、インテリジェンスへの入金が、日大側で不正リベートの原資となるとの認識はなかったと弁明した。

 とはいえ東邦HDの振る舞いには、多くの「なぜ」が沸き起こってくる。薬価が決められた医薬品の値引き分について、販売先とは関係のない会社にコンサル料としてなぜ提供したのか。シェア拡大を狙い、購入側の要求を甘受したとしても、実際にペーパーカンパニーに現金を振り込む行為を防ぐコンプライアンス、ガバナンスなどは存在しないのか。