絵画のような港町の風景と
クールベが描いた断崖

 そんなルーアンの町から、セーヌ川が海に合流する地点まで進めば、港町のオンフルールに辿り着きます。

印象派画家の名画と歩くノルマンディー地方<br />日本人の手による「林檎の礼拝堂」も必見ヨットの停泊と色とりどりの建物があふれるオンフルール  ©Atout France/CRT Normandie/Eric Bénard

 ここはヨットが多く停泊していて、色とりどりの建物も可愛い、私のお気に入りの町のひとつです。海沿いには、シーフードのレストランが並び、何を食べようかと悩んでいる観光客が目に付きます。そこでおススメなのが、ミシュラン1つ星を持つレストラン「サ・カ・ナ(Sa.Qua.Na)」です。シェフのアレクサンドル・ブルタ氏は、洞爺湖ウィンザーホテル内の「ミシェル・ブラス」で働き、奥さんの出身地であるオンフルールでレストランを開業したとのこと。魚が得意料理なので、店には日本語の名前を付けたそうです。ノルマンディー産の海の幸を使った美味しい絶品料理が食べられますよ!

 さらに海沿いを北上すると、あの、怪盗アルセーヌ・ルパンの家がある町エトルタに到着します。「小説の中の人物のルパンの家が、なぜ?」と思いがちですが、これは、作者であるモーリス・ルブランの家を[怪盗ルパンの家]として公開しているそうです。

 建ち並ぶお土産屋さんを抜けて町の中心に行くと、砂浜が広がり、左右にはモネやギュスターヴ・クールベ(1819年~1877年)の描いた断崖がそそり立っています。

印象派画家の名画と歩くノルマンディー地方<br />日本人の手による「林檎の礼拝堂」も必見エトルタの断崖では満汐と干汐の干満差に気をつけたい ©Atout France/R−Cast

 私がエトルタに到着した時、海は干潮で道が断崖のふもとまで続いていました。そして、断崖までたどり着いた時、すごいスピードで波が押し寄せ、急いで陸に戻ろうにも、膝や腰の高さまで水位が上がってしまい、全身ビショビショになってしまった経験があります。それもそのはず、ここノルマンディーは干満差の大きい場所として有名で、満潮と干潮の平均干満差が8.5mもあり、大潮には最大13.5mになるほどだそうです。モン・サン・ミッシェルに近いランスには、この干満の差を利用した、潮汐発電所もあります。