大阪王将Photo:Diamond

外食大手トリドールHD、ロイヤルHD、イートアンドHDの損益計算書(P/L)をコロナ禍当時と、コロナ後のもので比較。好業績の要因と、各社の抱える課題を読み解いていく。大阪王将を手掛けるイートアンドHDは、唯一コロナ禍でも営業黒字となっていた。ただ、コロナ後は大増収の一方で、収益性が伸び悩んでいる。その理由とは?(中京大学国際学部・同大学院人文社会科学研究科教授 矢部謙介)

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イートアンドHDがコロナ禍でも
黒字を確保できた秘訣とは

 前編では、P/Lの基本構造について解説するとともに、イートアンドHDの21年2月期と24年2月期における損益計算書(P/L)を比較した。その結果、イートアンドHDはコロナ禍においても黒字を確保していた一方で、コロナ後は大きな増収にもかかわらず、収益性がそれほど高まっていない状況が見えてきた。

 後編では、その理由について解説していこう。

 イートアンドHDの事業は外食事業と食品事業で構成されている。外食事業における主力ブランドは中華料理の「大阪王将」だ。食品事業に関しては、大阪王将ブランドの認知度向上と二次活用を主な目的として同ブランドの冷凍食品を量販店などに販売していると有価証券報告書に記載されている。

 同社のビジネスモデルは、大阪王将ブランドを核とした外食と食品の両面展開になっているといえる。

 そこで、同社の業績を二つの事業に分解して見ていく。

 次ページの図は、イートアンドHDにおけるセグメント別の売上高と営業損益を21年2月期と24年2月期で比較したものだ(なお、セグメント別営業損益には全社費用を加味していないため、セグメント別営業損益の合計額と連結営業利益は一致しない)。