妻と夫は、なぜすれ違うのか?人と人は、なぜ揉めるのか?己の正しさを押し通してばかりいると、自分も相手も心がギスギスしていつしか溝が深まってしまうはずだ。そうなる前に、目の前の人をおもんばかって「ありがとう」と「ごめんなさい」のひと言を言える人になろう。本稿は、海原純子『いい気分の作り方 困難な時代の心のサプリ』(毎日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
家庭内の掃除や片づけの
トラブルはこうやって解消
結婚半年目のGさんは夫と大ゲンカ、原因は掃除である。夫は大学の研究室勤務。朝は早くから出かけるし、夜もかなり遅くなり、帰宅後も机に向かうことが多い。久しぶりの休日で夫が買い物に行った合間をぬって、Gさんは夫の部屋の掃除をすることにした。床に書類が散乱しており、掃除機をかけられず、気になっていたのだ。
夫は自分の部屋は自分で片づけるから、と常々言っている割には掃除しているのを見たことがない。忙しいからその時間はないはずだ、と考えたGさんは、床の書類をまとめて掃除機をかけた。Gさんは子供のころからきれい好きで、物がきちんとそろえられていないと仕事がはかどらない性格なのだ。
これで夫も喜んでくれるだろうと思っていたところ、夫が帰宅後大ゲンカになってしまったという。夫は床の上に書類を散乱させていたのではなく、「分けて置いてあった」そうで、すべてをまとめて一緒にされたことで仕事がまたやり直しだと激怒。Gさんも「それじゃあ、汚くて掃除機がかけられない」と反論し、冷戦が続いている。
掃除をめぐっての冷戦はしばしば起こる。なぜそうなるかというと、それは「分類」の問題であり、片づけられると自分の思考の流れが妨害されるからだろう。Gさんにとってはただの書類に見えるものが、夫にとってはすでに分類されたものであり、その思考が妨げられたので激怒したのだ。
Hさんは、忙しいときにお掃除サービスを頼んだら、食器や電気製品がいつもと違う場所にしまわれていて、手順が乱れ、以来、頼んでいないという。
人の思考と分類は家族でも同じではなく、わからないもの。掃除や片づけをどこまでするのか、しっかりコミュニケーションしておくことが大切。散らかりすぎて家族に迷惑をかけぬよう、夫に責任を持ってもらうことも話し合おう。