頑固な自分を見つめ直し
柔軟性と客観性を身につける

 仕事帰りに、妻に頼まれた豆腐をスーパーで買ったI氏。帰宅して、妻に「品物が違う」と言われたものの信じられず、「絶対にちゃんと買ったはず」と言い争いになってしまった。

 よくよく見ると、パッケージに書かれた文字の色が同じだけの違う品であることが判明。色だけ見て、

「これだ!」

 と思い込んだため、間違ってしまったのである。I氏は、品物のパッケージの色だけに注目して、全体を見なかったから、間違ってしまったわけだ。我々は、ものごとの全体を見ずに自分の見たいところだけを見、聞きたいところだけを聞き、注目する部分だけを読む傾向があるといわれている。

 つまり、関心をもっていたり、自分の興味のあるところだけを見たり聞いたり読んだりしているのだ。このことは、集中力の原動力となる一方、思い込みや誤解の原因ともなる。

 対人関係でも同様のことが起きるもの。相手の性格や行動のひとつだけを見て、「ダメな人」とレッテルをはってしまうと、相手の良い面を見つけることはできなくなってしまう。このような誤解を減らすためには、

「自分の記憶は絶対に正しい。自分は絶対に間違うことがない」

 と頑張るのをやめて、少々の柔軟性をもつことが必要だろう。

「もう一度、全体を見てみよう」

「相手の別の面も見てみよう」

 というような冷静さと客観性が、行き違いを減らしてくれる。

 I氏は間違いに気づいてすぐにゴメンと謝り、コミュニケーションはうまくいった。こんなとき、「オレは忙しいのに買い物したんだ」などと頑張ってしまうとケンカになる。思い当たる方はご用心を。