一般に「好きだ!」「すごい!」と気持ちを乗せて情報をインプットすると、脳の感情を司る部位が活性化されるため、理解力も思考力も深まるのだといいます。

 また、他者への説明が前提となるため、内容の要点を的確に拾い出し、無駄な部分を捨てながら再構成する必要があります。記事中にポイントが5つ書かれていたならば、「今回、3と5は要らないな」「順番を入れ替えて4を頭に持ってきたほうが彼にはわかりやすいだろう」といった具合に整理していくと、漫然と読むよりも記事への理解度、脳への定着は数段高まります。

 説明の相手が誰であるか、あるいはどのような状況で説明するかも重要な点です。会社のプレゼンの場で利用するのか、友人との雑談の中で話すのかで、求められる記憶の整理方法は変わってきます。

 相手が会社の同僚であれば、基本的な知識は共有されているので、そのまま伝えることはできるでしょう。ところが、小学生になる自分の孫に話すということになると、言葉をすべて子ども向けに変更し、まずは記事をとりまく環境から説明する必要も出てきます。

 実際に説明する必要があってもなくてもかまいませんので、覚えにくい文章を読む際はこのアウトプットを意識した読み方を試してみてください。記憶の定着の差がかなりはっきりと自覚できると思います。

辞書を使いこなすことで
語彙力を育てる

 私たちは普段、日本語を話したり書いたりしながら暮らしています。このため、日本語だけはほぼ完璧に使いこなせていると思っている人も多いようですが、日本語力というのは人によってかなり差があります。

 この差をつくっているのが語彙力であり、その語彙力を育てるのが、1つには辞書を日常で使いこなすことです。

 何か言葉を使ったときに、それが他ではどのような使われ方をしているのか、あるいは別の言葉で言い換えるとしたらどんな類義語があるのかなどを、その都度、辞書を手に取って引いてみるのです。

 実際のところ、人の教養とは語彙力で測られるといっても過言ではありません。当然ながら、言葉を知らないとどんなことも理解ができません。