次世代エネルギーとして普及が期待される燃料の一つが「SAF(持続可能な航空燃料)」である。世界中で再生エネルギー企業やオイルメジャーが開発に取り組んでいる中で、日本にも技術力でSAF市場の開拓に動いている企業がある。中長期的な投資の観点からエネルギー業界の目利きが、SAFで最注目の日本企業6社を厳選した。(環境エネルギージャーナリスト 本橋恵一)
2030年まで日本の航空燃料の10%
50年に世界需要の90%がSAFに
航空燃料の業界で最もホットなテーマが、SAF(持続可能な航空燃料)である。バイオマス燃料や合成燃料などを含めた、カーボンニュートラルを実現する燃料といえる。
日本は、2030年には航空燃料の10%をSAFにすることを目標としている。そのためには、30年の段階で171万キロリットルのSAFが必要だ。
SAFを必要としているのは日本だけではない。ICAO(国際民間航空機関)の温室効果ガス排出削減の枠組みとしても、各国の航空会社は取り組みが求められており、30年には世界全体で2030万キロリットルのSAFの需要が見込まれている。さらに50年にカーボンニュートラルを実現するために、SAFの需要は、4.1億キロリットル~5.5億キロリットルが見込まれている。これは世界のジェット燃料の90%に相当する。
このSAF市場は石油会社をはじめ、商社、製紙会社、エンジニアリング会社が狙っており、さまざまなスタートアップも参戦している。
現在、SAFとして生産が進められているのはほとんどがバイオマス系の燃料だ。とはいえ、一口にバイオマスといっても多様な燃料がある。
次ページでは、SAF関連で大化け期待の日本企業6社について、それぞれ強みとなるポイントとともに、今期と来期の予想営業増益率を、銘柄表にまとめて紹介する。