コンビニの袋とビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

忙しい毎日を送るなかで“食事は作業”と考えているビジネスパーソンもいるかもしれない。手早く腹を満たすことのみが目的になってしまい、口に入れた食品にどんな栄養があるのか、心身にどんな影響があるのか、までは意識していない人もいるだろう。しかし、乱れた食生活は体の健康を害するだけでなく、仕事のパフォーマンスやメンタルヘルスにも悪影響が及ぶ可能性があるという。(清談社 真島加代)

ビタミン・ミネラルが不足しがちな
現代のビジネスパーソン

 高脂質・高糖質な食べ物を好きなだけ食べる。そんな食生活を送っていると、いずれ健康状態が悪化してしまうが、加えて仕事のパフォーマンスの低下やメンタル面にも悪影響を及ぼすリスクがあるという。

「食事は“ただ三食食べればいい”というものではありません。夜は寝ているはずなのにスッキリ起きられず、日中も頭の中がモヤモヤする……という人は、現代人特有の“栄養失調”に陥っている可能性があります。自分の口に入れるものは、すべて将来の健康という資産を作り上げるための『投資』になるので、ぜひ食材に含まれる栄養素にも目を向けてほしいです」

 そう話すのは、満尾クリニック院長の満尾正氏。満尾氏はハーバード大学外科代謝栄養研究室で研究に取り組み、同クリニックでも栄養学に基づいた治療を行っている。

「先日、ある企業に勤務する社員全員の健康診断を行ったところ、若手社員の健康状態がもっとも悪いという結果が出ました。ある人は20代で骨がボロボロだったので、どんな食生活を送っているのか尋ねてみると、忙しい昼はコンビニで買ったおにぎり1つだけで済まし、夕飯はファストフード。自宅でもカップ麺を食べる日が多いと話していました。インスタント食品やファストフードは添加物が多く、ミネラルやビタミン、食物繊維が足りません。外食で糖質を多く摂り、ビタミン・ミネラルが不足すると精神を安定させる神経伝達物質が不足し、うつ状態に陥りやすくなってしまいます」

 また、中高年以降も若い頃と同じように不摂生を続けていると、心身の疲れやすさや、便秘、下痢など胃腸の不調に見舞われやすくなるという。

「食生活の乱れから眠りが浅くなったり、落ち込みやすくなったり、といった悩みを抱える中高年も多いです。じつは、当院の患者さんのなかにはコロナ禍の自粛期間に会食が減って暴飲暴食をしなくなり、健康診断の結果が良好になった人もいました。しかし、コロナ禍が落ち着くと夜遅くまで会食をするようになり、せっかく減った内臓脂肪が再び増えてしまったんです。40代になったら、30代とは違う体。暴飲暴食の影響はダイレクトに体調に現れると考えましょう」

 そして、自身の食生活に興味がない人には「自らの体調の変化にも無頓着」という共通点がある、と満尾氏。

「人の体調やメンタルは、日々の食生活と密接に関わっています。朝起きたときに疲れを感じているならば、直近数日間の食事が影響を及ぼしている可能性が高いです。今、自分が何を食べているのか、それにより心身にどのような変化が起きているのか、自分自身をセンサーにかけてみてください」

 仕事やプライベートで高いパフォーマンスを実現するためにも、まずは自らの心身と向き合うのが先決だ。