「不惜身命」を肝に銘じ
石井紘基の遺志を継ぐ

 結局、事件の真相は解明されないまま2022年10月25日、丸20年を迎えた。当日は、石井さんの娘さんと一緒に議員会館で、石井さんの没後20年を偲ぶ集会を開いた。石井さんの遺志を継いで政治家になった私にとって、事件は今も現在進行形や。

 石井さんは殺害される前に、友人にこんな手紙を送っていた。

《これ(追及)により、不都合な人はたくさんいますので、身辺には注意しますが、所詮、身を挺して闘わなければ務まらないのが、歴史的仕事ということでしょうから、覚悟はしていますが、それにしても、こんな国のために身を挺する必要なんてあるのかな、との自間葛藤もなきにしもあらずです》

 石井さんは、覚悟を持って不正を追及してはったし、同時に身の危険を感じていたはず。

 私は市長に就任した直後から「思い切った方針転換」という名の予算シフトを進め、その影響で自宅ポストに「殺すぞ」「天誅下る」などと書かれた脅迫文が投函されるようになった。死んだ昆虫が入ったペットボトルを投げ込まれたこともある。

 脅迫は気色悪いが、どこか達観しているところもあった。「やるべきことをやる以上、一定のリスクと隣り合わせなんやな」と。

 安倍さんと石井さんには共通点があると思う。それは、政治家としての使命感と、やり遂げるという強い思い。そういうエネルギーに溢れるところが2人の共通点。

「不惜身命」。石井さんが好んだ言葉。要は、身を投げ打ってでも世のために尽くす。安倍さんなら「国家のため」、石井さんなら「国民のため」ということだろうか。私も石井さんの弟子として、この言葉を肝に銘じていきたい。