在留資格別にこの1年で最も人数が増え外国人は、特定技能に従事する人々で8万5629人となる。特定技能とは、人手不足の分野(介護・宿泊業、建設、農業など)で一定の技能がある外国人を労働者として受け入れるものだ。2019年度に始まった制度で、5年間で34.5万人を受け入れ上限にしている。コロナ禍期間に受け入れが遅れたが、最近急ピッチで増えて、受け入れ上限まで急上昇している。
2024年度から自動車運送業や鉄道など4業種が追加になり、政府は5年間の受け入れ枠を以前の約2.4倍となる82万人とすることを閣議決定している。そのため、今後も特定技能者は年間16.4万人ペース(直近1年の約2倍)と急増が見込まれる。つまり、少子高齢化で日本の働き手となる年齢層の人口が減るに従って、外国人を増やす政策が取られているので、今後も在留外国人はこれまで以上に増えていく可能性が高い。
働き手は増えても労働生産性は低下
ジリ貧日本の救世主は中国人?
とはいえ、実は近年、日本における働き手は増加している。就業者数は2013年に6326万人だったが、2023年には6747万人となり、6.7%増加している。これは女性の社会進出と高齢者の就業率が増加し、さらに外国人労働者も増えているからである。しかしながら、日本のGDP(国内総生産)はほぼ横ばいで増えていない。ということは、「GDP=就業者数×労働生産性」と考えると、1人当たりの労働生産性は落ちていることになる。確かに、女性と高齢者と外国人は非正規雇用の単純労働が多い。これでは経済的に繁栄しそうにない。
毎年年収が上がっていく高度な仕事の担い手として、外国人の大学留学生はコロナ禍前に30万人に達していた。その留学生の4割は中国人で、米中の関係悪化から日本を留学先に選ぶ人は多い。中国では若年失業率が高く、就職が難しいため、日本で就職する人も増えている。東南アジアの国々からすると、日本は先進国であるし、若年失業率の高いヨーロッパの国々(スペイン、イタリア、フランスなど)は多いが、日本の2023年平均の完全失業率は2.6%と先進国では最も低い部類に入るため、就職先には困らないはずだ。