学生が学業に力を入れるには
大手企業の協力が絶対条件

 この流れを作るためには、企業、それも社会的な影響が大きい大手企業が成績を活用しはじめる動きがどうしても必要です。私自身も大手企業の人事責任者にこの流れを説明し、協力を要請し続けてきました。大学生が学業に力を入れることが報われるような社会にすることに賛同いただき、協力を約束してくれる方もおられます。しかし、自社の採用のメリットが高くないということで、協力したくないというような人事責任者の方も多くおられることのも事実です。

 しかし、大学生が学業に、大学教員が教育に力を入れても報われない構造を残したままで、無駄の多い就活の問題も、大学教育のレベル低下の問題も解決するはずはありません。

 例えば、就職活動の開始時期だけを変更しても、大学生が学業に力を入れるでしょうか?過去もそうだったように大手企業を中心に、水面下での採用活動が横行し、そして徐々に選考時期が早くなることは目に見えています。

大学生が学業に、大学教員が教育に力を入れることが報われる環境を作ることは、社会としての環境基盤の整理です。この基盤環境が整理されてはじめて、大学、大学教員、企業、学生がそれぞれの価値観や考えで行動することが、社会にとってもプラスの方向につながるのです。

 繰り返しになりますが、それにはまず、企業が成績を採用活動の参考にすることが絶対条件です。しかし、企業が行動しやすくする、また大学教員が今まであまり気にしてこなかった評価を厳正にしやすくするなどのために、政治が動くことも必要です。

 デフレスパイラルの解決も、政治によるリーダーシップが必要だったのと同じように、大学教育と就職活動の「負のスパイラル」を解決し、大学生が学業に、大学教員が教育に力を入れることが報われる環境を整えるためにも、政治にリーダーシップをとっていただきたいと思います。

<お知らせ>

3月29日、新刊『なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?』(東洋経済新報社)を上梓いたしました。東大・慶應・早稲田などの一流大学の学生も例外なく「勉強しない」状況を生み出す構造を解き明かし、改善策を提案しています。よろしければ、ご一読ください。

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