政府はコメの関税化には応じたが、数百%の禁止的関税を負荷し、コメ輸出国の合意を得るため「ミニマムアクセス」制度を発足させた。しかし実際にミニマムアクセスで入ってきたコメは、多くが煎餅の材料や第三国への援助米に使用され、日本の消費市場に入ったのはごく一部であった。

 さらに6兆円を超える膨大な補助金は、農業道路や温泉を掘る資金に消え、コメの一部開放を契機として農業効率化が進められたとは到底考えられない。このような政治的要請のみで行動したとしか思われないことを、繰りかえしてはならない。

 TPP交渉への参加によって、日本は日本経済を再活性化させるという目的を達成しなければ意味がない。このためには無用な規制を撤廃し、農業の効率化に向けて農地の流動化を含む抜本的な施策を講じなければならない。

 よく「日本はタフな交渉をするべき」と言われるが、日本の市場を保護するために、国内の既得権益を守るためにタフな交渉をするべきである、という意味なのであろうか。

 もちろん、国内改革を進めたうえで農業や他の国内利益をきっちりと守るための交渉をする必要はある。しかしながら、規制緩和や農業効率化などの国内改革を強力に推し進めることなく、交渉によっての現状を守るということであれば、間違いなく日本はTPP交渉の足かせとなるのみならず、日本経済の再活性化という本質的な課題を達成することもないのだろう。

リスクが大きいが得るものも大きい
TPPを将来への「投資」と捉えよ

 国際社会では、日本にとってTPPは「アベノミクスの第三の矢」ではないかと論評されることが多い。TPPは日本にとり、日米同盟にとり、そして東アジア・アジア太平洋地域の将来にとり、リスクが大きいが同時に結果として得るものも大きい「ハイリスク、ハイリターン」の投資であると思う。

 このような投資が結実するかどうかによって、日本の将来は決まるような気がする。もし日本がTPPの早期成立に貢献し、同時に日本経済の再活性化に成功するならば、日本が東アジアで再び指導的役割を担っていくことにも繋がっていくのだろう。それを願いたいと思う。