1913年に(大正2)に創刊した「ダイヤモンド」は、2024年に111周年を迎えた。そこで、大正~令和の日本経済を映し出す1年1本の厳選記事と、その解説で激動の日本経済史をたどる「111年111本」企画をお届けする。第9回は高度成長期、1961~65年までの5年間だ。(ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)
【49】1961年
「所得倍増計画」で広がった
都市と地方の経済格差
1960年に就任した池田勇人首相は、61年から70年までの10年間で国民所得を2倍にすることを目標とする「所得倍増計画」を打ち出した。これは年平均7.2%の経済成長率を維持することを意味したが、計画期間中、日本は年平均約10%もの経済成長率を達成し、国民所得は実際に2倍以上に増加した。
所得の増加に伴い、住宅、自動車、家電製品などの普及が進み、国民の生活水準は大きく向上した。一方で、この時期の産業構造の変化や都市化の進展により、地域間の経済発展に大きな差が生じるという問題も生じた。
「ダイヤモンド」は所得倍増計画がスタートした61年時点で、すでに都市部と地方の所得格差が拡大していることを指摘している。