1913年に(大正2)に創刊した「ダイヤモンド」は、2024年に111周年を迎えた。そこで、大正~令和の日本経済を映し出す1年1本の厳選記事と、その解説で激動の日本経済史をたどる「111年111本」企画をお届けする。第15回は平成前期、1989~92年までの4年間だ。
【77】1989年
「新しい時代」と誰もが期待した
平成の幕開けとバブルの絶頂
昭和天皇の崩御によって昭和64年はわずか7日間で終わり、1月8日から平成元年が始まった。本誌に初めて「平成」の文字が躍ったのは、1月16日発売の1月21日号である。
「“平成景気”への期待」という特集が組まれ、20大シンクタンクによる景気見通しを掲載している。また、激動の昭和時代に心理的なピリオドが打たれ、人々が来たる21世紀に意識を向ける契機となり、「改元景気」が見込まれるとの記述もある。例えば斎藤精一郎・立教大学教授(当時)が、こんな談話を寄せている。
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(中略)
すでに超円高をきっかけとして、企業サイドでは経営構造の大刷新が進められているが、こうした設備投資の勢いは、平成時代を迎えてさらに加速されてくる。この点で、改元景気は単に製紙とか印刷業界を潤すといった直接的効果ではなく、企業自体のありようを一新させる効果を持ってくる。これは消費者にとっても同様だ。
改元は、激動の昭和時代に心理的なピリオドを打つことで、21世紀を展望する平成時代へ人々を、本格的に立ち向かわせる契機を供するのだ。しかも、経済環境は絶好調だから、企業も消費者も、改元をポジティブな機会ととらえる。円高景気は改元景気によって、その持続力を一段と強めていくことになろう』