では、インターンシップ等のプログラムに参加した企業に入社する学生はどれくらいいるのでしょう。24年卒学生に、インターンシップ・1day仕事体験参加企業への入社予定を聞いたところ、43.7%が参加企業・各種団体等に入社する予定だと回答。年々その割合を増やしています。インターンシップ・1day仕事体験の参加企業ではないものの同業種の企業に入社する割合は27.6%で、合計で71.3%がインターンシップと何らかの関係がある企業を就職先として選んでいることがわかります。
 
 企業にとっても、インターンシップ等のプログラムは学生との接点を早々につくることができる機会になっています。24年卒のインターンシップ等実施企業に「内定者の中に自社のインターンシップ参加者がいた」かを聞いたところ、82.7%の企業がいたと回答しました。その内訳として、そもそも「採用を目的として実施している」割合は50.4%、「採用を目的とはしていないものの、結果的に内定者の中に参加者がいた」割合が32.4%にのぼり、採用とインターンシップの関係性の強さがうかがえます。

 25年卒以降のインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムでは、5日以上の就業体験を含むインターンシップにおいて、企業は学生の情報を採用活動に活用することが可能になりました。インターンシップが採用につながるケースは今後も増えていくことが予想されます。

他者との対話の中で自己内省を深化
就活は“ありたい姿”の実現プロセス

 企業に2026年卒の採用予定人数を尋ねた調査では、前年より「増やす」と答えた企業は8.8%で「減らす」は1.7%にとどまりました。企業の採用意欲の高さがうかがえます。

 企業にとって、人材獲得競争はますます激しくなっていきます。選考を採用充足するためだけのものとしてとらえるのではなく、学生一人ひとりが自分らしいキャリアを築くためのキャリア開発支援の機会でもあると捉え、人事担当者や面接官が“キャリアアドバイザー”として学生に寄り添う姿勢が大切です。従来の考え方や手法だけにこだわらず、多様な価値観を持つ学生に合った採用の入り口を用意するなど、より一層の創意工夫は求められていくでしょう。

 求人倍率の高水準が続き、学生に追い風が吹く状況は26年卒においても加速していくことが予想されます。企業の採用意欲の高さは、学生にとっては喜ばしいことです。しかし、選考開始や内定出しのタイミングが早まり、活動が早期化・短期化すれば、自己分析や企業分析を深め切れぬままに「内定をもらったから」と就職先を決めてしまう人も出てくるでしょう。入社以降、「こんなはずではなかった……」と思い悩むことにもなりかねません。

 豊かな人生を送る上で、「働く」ことは大きな要素を占めるでしょう。世間や他人の評価軸だけで、自身の就職先を決めてしまうのではなく、自分らしさや強みをしっかりと内省する中で、これからの人生における「ありたい姿」を見据えることが重要です。自身のことや働くことをよく知る周囲の第三者との対話を重ねながら、「ここなら自分らしく輝ける!」と思える1社を、ぜひ見つけてほしいと思っています。

(リクルート就職みらい研究所所長 栗田貴祥)