日本的組織原理の欠点を認めて、
新たな学習を成し遂げるチャンスへ
ビジネス、社会での閉塞感が高まっている中で、巨大組織での意思決定のあいまいさや、企業の相次ぐ不祥事は打開策への希求を強くしていると感じられます。明るい未来が見えないことに、多くの日本人は強い苛立ちを覚えているのではないでしょうか。
日本は経済、政治、社会体制など多くの面で難問を抱えています。この危機的状況から将来の成功を生み出すためには、過去を乗り越えることを目標に、新たな学習を成し遂げることが大切です。名著『失敗の本質』の重要ポイントの一つは“学習棄却”という概念でした。過去を適切に手離すことが新たな成功には不可欠なのです。
そのために重要なことは、日本と日本的組織で繰り返されている失敗を突き止め、再発を防止できる知恵を得ることです。日本軍は大東亜戦争を、極めて日本的な発想で戦い、緒戦の快進撃を除いては敗北を続けたのですから。
日本的組織を分析した『失敗の本質』が、初版からずっとベストセラーであり続けているのは、私たち日本人が知りたい答えを示唆しているからだと思われます。
一方で、名著『失敗の本質』は、33年間読み継がれ、累計70万部のベストセラーであるのに、なぜ私たちは名著の教えを習得できていないのか?『失敗の本質』がやや難解な書籍であり、読み解くことが難しいこともその一因かもしれません。