昨今は少子高齢化が進み、労働力人口の減少が懸念されています。今後は再雇用制度などを充実させ、定年退職後の人材を積極活用する企業がさらに増えるでしょう。ただ、近頃は生成AIやロボットの進化が著しく、「人間の仕事を奪う」懸念もあります。経験豊富な中高年層といえども、再雇用後に活躍し続けるには「リスキリング(スキルの再習得)」などの自己研鑽が不可欠になります。そのための具体的な手法や考え方を、後藤宗明氏の新刊『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』から一部抜粋してお届けします。
やっかいな人間関係でストレスをためずに
長く働き続ける秘策
長く働き続けるための「人間関係への投資」の一環として、あえて挑戦していただきたいのが、自分の「やる気をなくさせる」人間関係と距離を置くこと、です。複雑な現代社会において、とても難しいことだと思いますが、多くの人の悩みは人間関係に起因するものだと言われていますので、自分のやる気を維持するためにも、ぜひ仕組みによって状況改善を試みていただけたらと思います。
(1)SNSで「お互いに」表示させないようにする
すでに周知のこととなっていますが、SNSと気分の上がり下がりは大きく関係があります。SNSとの距離の取り方は人それぞれですが、気になってしまう方は、SNSで表示される内容によってやる気がなくなったり、やる気が出たりすることもあるかと思います。私はうつ病とパニック障害を経験してから、自分にとって有害な出来事が過去にあった人や、他人批判をし続けている人などの投稿を自分のSNSの表示から消すようになりました。
また、自分の投稿の表示が相手に自動的に表示されないように、自分の投稿の表示も制限するようになりました。それは、相手から自分に連絡が来ないようにするためです(相手に自分のことを思い出されないようにする予防措置のようなものです)。
自分の表示から相手が消え、相手の表示から自分が消える。それによって、お互いを認知する機会を減らしていくのです。SNSの登場によって、便利になった一方、自分の管理できる範囲を超える人間関係を維持するようになったのも事実です。自分の管理能力を超えた人間関係をSNSで維持していると感じたら、思い切って、非表示機能を使いましょう。
例えば、以前は、オフィスを出れば、会社で付き合いが難しい上司、同僚などを視界から消すことが可能でしたが、今はオフィスを出てもSNSに上司や同僚が表示されたり、メッセージが届いたりすることが一般的です。そのため、勇気を持ってどこかで、「自分が無理!」という線引きをする必要があります。表示しない、表示させないことで、接触機会を減らし、やる気がなくなる、悩み始めるきっかけをなくすのです。