(2)気が進まない誘いは勇気を持って丁寧に断る

 社会生活の中では、気が進まない会食や誘いがあるかと思います。誘いを断ることが苦手で、我慢して参加し、結果的に嫌な思いをしたり、不愉快な気持ちになったりして帰ってくる。しかも、そうなるとわかっていて、結果、予想通りになって家に帰ってきて悶々とする。そんな方も多いのではないでしょうか。

 日本の文化、日本人の気質もあるかと思います。海外の方と仕事をしていると、日本人には、断ることが失礼と思い込んで、断ることを苦手としている方が比較的多いように感じます。自分の生活を大切にするため、自分の人生を左右するリスキリングに取り組むと決めた際には、しっかりと優先順位をつけて、気が進まない誘いは勇気を持って、丁寧に断りましょう。

 日本特有の事情として、仕事とプライベートの境界線が曖昧ということもあるのではないか、と思います。例えば、Facebook発祥の地である米国では、Facebookはプライベートの友人同士、仕事関係のつながりはLinkedInを利用する、とはっきり分けて使うことが一般的です。

 日本の私の友人たちで、上司からのFacebook申請を断れず、上司から監視されている気分になってしまい、投稿ができなくなってしまったという方がたくさんいました。また一方で、友人の近況を見るためにFacebookを開いたら、上司が日頃の仕事の不満を書いていて気持ちが萎えた、という話もありました。

(3)仕事の進め方を仕組みで変えていく

 私自身、この(1)と(2)を勇気を持って実行できるようになったのは、実は49歳からで、つい最近のことです。いろいろなことを我慢し続けて、今までの価値観ではやっていけなくなり、体調を崩すところまで行ってしまったために、勇気を持って決断しました。気づいたことは、やる気がなくなる人間関係を維持しているのは、いろんな理由はあれど、自分だということです。

「大切な取引先だから」「上司の誘いだから」「お付き合いがあるから」など、さまざまな理由があるかと思いますが、その環境を選んでいる、その環境にい続けているのは、どんな理由があれ自分の決断です。そのため、「自分のやる気を維持する」「メンタルを健全に維持する」上で障害となる人間関係は整理していかないと、いつか取り返しのつかないダメージを受けかねません。

 勇気を持って、例えば、「私の仕事のやり方はこうです」「私のSNSでのつながりはプライベートのみです」と伝えていくことで、周囲の期待値を調整をしていきます。それで失ってしまう人間関係であれば、それまでの関係です。相手の価値観や仕事の進め方を尊重できない人たちとずっと仕事をしていて、我慢し続けて失うものの重要性に気づく必要があると思います。

 自分が憂鬱になる、やる気がなくなるきっかけを自分で理解し、「やる気がなくなる」タイミングを未然に防ぐ仕組みを作ることで、自分のよい状態をキープできるようにしていきましょう。