CDは紐などに吊るされる(図2-2)。そのため、風でゆらゆら揺れる。微動だにしないカカシとは異なり、不規則な動きをする。この「動く」ことが重要だ。さらに、不規則な動きがカラスの警戒心をより煽る。

図2-2:庭先に吊るされたCD同書より転載

 また、光を反射することも重要だ。カラスは非常に目がよい。網膜には視細胞と神経節細胞という細胞がある。目に入った情報をキャッチし、脳に伝える細胞だ。これらの数が多ければ高い分解能で物を見ている、つまり、目のよさの指標と言えるだろう。

 網膜における視細胞の密度は、ヒトが約1万個/mm2に対し、カラスは9万個/mm2ある。また、網膜全体の神経節細胞の数は、ヒトが約100万個に対し、カラスは約360万個ある。これらの結果から、われわれよりも目はよいと言えるだろう。

 そこで、視覚を刺激する対策は、よりカラスの注意をひくことになる。つまりカラスからすると目立つ。とくに風に揺られ、不規則に動けば光の反射も不規則になり、よりカラスに目立つ存在になるだろう。カカシよりは目立つ存在だ。したがって、カラスがより用心する可能性はあり、カカシよりCDのほうが高い効果を発揮するかもしれない。しかし、あくまで注意をひく存在である。つまり、嫌がるわけではない。結局、一時的な効果であることは間違いない。

 CDと同様の効果をもたらす製品として、バネ状の製品が挙げられる。不規則に揺れ、光を反射する。少し異なる点として、これらの製品は音が出る。バネが伸び縮みする際に発生する音だ。視覚への刺激に加え、聴覚への刺激も加わり、また、それらの刺激が不規則にもたらされることから、カラスにとってはより目立つ存在となりうる。

 誤解のないように言っておくが、目立つことイコールより長期的効果を発揮する、というわけではない。目立つ対策は、はじめて見たカラスがより用心する可能性はある。しかし、目立つがゆえに効果の期間は短くなる可能性もあるのだ。

「カラスは紫外線が嫌い」説を
ハムと偽ハムの実験で検証してみた

 ある製品は、カラスが嫌がる紫外線を反射し、追い払うとのこと。カラスが紫外線を嫌がる?これは本当だろうか?結論から言うと、カラスが紫外線を嫌がるとは考えにくい。