何が炎上を招いたか?
賛否それぞれの声

 なぜパリ五輪開会式は炎上したのか。広く報じられているのでご存知の方も多いだろうから簡単に書くに留めるが、韓国を「北朝鮮」と間違って紹介した一幕や五輪旗の上下逆さ掲揚など、いくつかの初歩的かつわりと重大なミスの他、名画『最後の晩餐』を連想させる構図でのやや性的な描写や、マリー・アントワネットの生首が歌う演出などが多方面の反感を買った。

 世界各地のいくつかのキリスト教団体は特に『最後の晩餐』について激怒していて、LGBTQへの理解促進がねらいだったはずの演出に対しては一般人のみならずLGBTQ関係者からも「不適切。社会の、LGBTQへの理解を退行させるようなことをしないでほしい」と批判の声が上がっている。また、個別の演出についてではなく、全体的なその“攻めた”姿勢について、「はたしてこれを、世界中が注目する五輪の開会式でやる必要があったのか」と疑問視する声も聞かれる。

 なお、出演者には誹謗中傷に留まらず脅迫まで行われているようで、痛ましい限りである。

 一方、開会式をポジティブに捉え、称賛した意見には以下のようなものがあった。

「過激ではあったが、チャレンジングで、その姿勢が素晴らしい」

「パリ五輪開会式には何かを表現しようとする意欲があり、東京五輪にはそれがなかったのが残念」

「歴史ある街並みを活用した、パリにしかできない美しい開会式」

 演出の内容そのものを「面白かった」とする評はあまり聞かれず、主に「尖っていて良い」など“創造と表現に向き合う姿勢”という点で好評だったのが全体的な印象である。

 なお、先に述べたが、こうしたポジティブな評価は開会式直後に主にマスコミを中心に見られた。マスコミ発信の情報となると、中立なフリをして実は裏に隠されている思想・主義が警戒される向きもあろうし、情報を受け取る側の人は賢明な判断をするためにその警戒の姿勢を持つことこそが肝要である。