金融・保険業界の仕事は「AIに代替される」可能性大!AI研究者が警鐘を鳴らす理由とは写真はイメージです Photo:PIXTA

人工知能(AI)の研究者であり、北海道大学大学院 情報科学研究院の教授を務める川村秀憲氏の書籍『10年後のハローワーク』(アスコム)から、要点を一部抜粋してお届けします。今回のテーマは「金融・保険業界の未来」。これらの業界は安定しているイメージがあり、就職・転職における人気度も高いものの、川村氏は「AIによる代替が起こる」と警鐘を鳴らします。その理由とは――。

金融・保険業界の仕事は
「AIに代替される」可能性大!

 私が、もっとも大胆かつ大幅にAIによる代替が起こると考えているのは、金融の世界です。

 金融業は、お金を集め、お金を融通していく仕組みですが、そのさまざまな過程においてAIのほうが人よりも上手に、しかも確率的に有利な答えを出すことができます。結果として「意思決定」できる人だけが残り、金融業界の利益率はよくなります。一方で、多くのホワイトカラーは居場所を失うでしょう。

 本格的なAIの登場前から、金融業界では情報化による効率化の波が押し寄せています。人間関係とさまざまな景品で保険契約を集めていた外交員の代わりに、人々はスマホで保険の見積もりを自由に取れるようになりました。

 ネットバンキングやネット取引が普及し、わざわざ銀行や証券会社の店頭に出向く必要性は激減しました。その証拠に、多くの店舗が統合や閉鎖となりました。