外食業界で「AI・ロボットに代替される店員」と「しぶとく生き残る店員」の決定的な違い写真はイメージです Photo:PIXTA

人工知能(AI)の研究者であり、北海道大学大学院 情報科学研究院の教授を務める川村秀憲氏の書籍『10年後のハローワーク』(アスコム)から、要点を一部抜粋してお届けします。今回のテーマは、飲食業界をはじめとする「接客業の未来」。外食産業の現場では、注文をタブレットやスマホで行ったり、配膳をロボットが担ったりするケースが増えてきました。そうした中で、今後も生き残れるのは、どんな人材なのでしょうか――。

コールセンターにAIチャットボット・・・
「AIに代替されやすい」のが接客業

 接客業は、ある意味ではとてもわかりやすい業種、職種です。

 マニュアルで対応が決められている仕事はAIに代替されやすく、すでにその動きは進んでいます。半面、マニュアルに依存しない「人対人」の魅力を顧客が認めるような仕事は、今後も残っていくでしょう。

 顧客とコミュニケーションをし、定型的なサービスを行うに当たっては、AIが担うことによって、効率化だけでなく新しい価値が生み出せるようになる可能性も秘めています。

 たとえば、コールセンターはAIに代替されていくものの典型例でしょう。私の知り合いがいるITコンサル企業でも、コールセンターのAI化は進んでいます。

 すでに体験された方も多いかと思いますが、顧客が何かを知りたい際、まずホームページにアクセスすれば、AIによって作られたチャットボットが現れ、あいまいな問いかけに対しても確度の高い情報を提供することが実現されています。じつはこうしたアプリケーションの背景には、ChatGPTに代表される生成AIがカスタマイズされたものが使われています。

 こうして多くの問い合わせは、生身のオペレーターにつながる前の段階で、AIによって代替、解決されることになります。外国語対応も格段に簡素化できます。

 同時に、これは顧客のニーズや関心事を巧みに吸い上げる方法としても活用できることになります。