紛争は避けられるのか
現実では容易に起こり得る
では、このAさんとBさんの協働は、avoidable war(紛争になることが避けられる)か、destined for war か(紛争になることが宿命づけられているか)?
彼らの間で生じる対立は、オープンなコミュニケーション、定期的なミーティング、そして互いの意見に耳を傾けることを通して、管理および解決することができるとプロジェクトマネジメントの教科書には書かれている。そのため、「避けられる紛争」と見なすことができ、経験豊かな管理者や、プロジェクトリーダーであれは、紛争は未然に防げると解釈されている。
しかしながら、多くの場合、現実にはうまくいかない。では、どうなると紛争になってしまうのだろうか。
もちろん両者のどちらかではなく、その中間に問題はあるのだが、話を分かりやすくするために、A、Bそれぞれが主導する場合の対立の理由を考えてみたい。なお、上記の(1)~(4)の要素が適宜適用されたものになっている。
Aが自身の世界観を固守し、妥協を一切受け入れない場合
具体的には、以下のような状況が考えられる。
Aが原作の精神性や詳細にこだわり、Bが提案する新しいメディアに適応するための変更を一切認めない場合、両者の間で深刻な対立が生じる。
Aが自身のビジョンを全ての側面で貫こうとすると、Bが持つメディア特有の制約や商業的要件に適応できず、プロジェクトの進行が困難になる。
Aの断固たる姿勢にBが遠慮して、自身の意見を伝えることができず、効果的なコミュニケーションが断たれる可能性がある。誤解や不満が積み重なり、協力が難しくなる。
Aのビジョンが全ての面で優先されることで、Bの専門知識や新しいメディアの特性が十分に活用されず、最終的な成果物が中途半端なものとなり、プロジェクト全体が失敗に終わる。