(3)コミュニケーションの問題

 異なる専門分野を持つ人々が協力する場合、コミュニケーションの障壁が大きな課題となることがある。

専門用語の齟齬:AとBがそれぞれ異なる専門背景を持っているため、用語や概念の解釈に違いが生じる可能性がある。互いの意図を理解しようとする際に誤解を招き得る。

情報の非対称性:Aが創作に関して詳細な知識を持っている一方で、Bは新しいメディアの技術や流行に精通している場合、それぞれ相手の領域については情報に乏しいままで、必要な情報が全ての関係者に均等に伝わっていないことがある。

(4)制作過程での優先順位の衝突

 プロジェクトの目標や成果に対する期待の違いから、優先順位の衝突が起こる可能性がある。

成果の重視の違い:Aは自作の持つ世界観の実現やメッセージの深さを重視するのに対し、Bは視聴者のエンゲージメントや商業的成功を最優先に考える可能性が高い。これにより、予算配分、スケジューリング、プロモーション活動などの面で意見の対立が生じる。

資源の配分:限られた時間と予算の中で、どの領域や内容にリソースを割り当てるかについても、両者の間で意見が分かれることがあり得る。例えば、Aはより質の高い表現に予算を使いたいと考えるかもしれないが、Bはマーケティングや視聴者層を広げるための戦略に予算を多く充てたいと考えることがある。

 ここに挙げた相違は、Aさんの立場の人とBさんの立場の人が協働した場合に起こり得る一般的な状況描写である。私は仕事柄、多くのプロジェクトを見てきたが、ここに記したような、もともとのスタンスが一見似ているものの、実は根本的に違う場合に、高い確率で大きな紛争に発展し、失敗している。