知らず知らずに「マウントおばさん」や
「マウントおじさん」になってない?

 相手よりも立場が上であることを示そうとする行為を「マウント」と呼びます。マウントをとっている人は、自分がそうであるとは気づかないもの。

 たとえば、「え?そんなことも知らないの?大学で習わなかった?」と学歴マウントをとったり、「ハワイに行くの?私はもう飽きちゃったけど」と張り合ったり、「結婚したことのない人にはわからないよ」と上から目線だったり。

 その根底には、すごいと思われたい、優越感に浸りたい、本当は自信がないなどの心理が潜んでいて、なにげなく言っていても、言われたほうは意外に傷つくのです。

 マウントをとる人はどの世代にもいるものですが、とくに「マウントおばさん」「マウントおじさん」が目立つのは、時代が変わり「年齢が上」というだけではだれも認めてくれなくなって、自分の存在意義を自ら示す必要が出てきたからかもしれません。

 いわゆる“働かないおじさん”と呼ばれる50代以上の男性が、成果主義やデジタル化の波、リストラの空気に脅威を感じるからか、マウントをとるという話も聞かれます。

 論破したがる、まず否定から入る、もの申したがる、間違いを認めない、過去の栄光を語るのもマウントの一種で、まわりから「子供っぽいなぁ」と思われる原因に。

 人よりも優位でないと安心できず、張り合おうとするのは、幼稚な証拠。対等な立場での知的なコミュニケーションができないということですから。

 本来、人間関係は、互いの敬意の上に成り立ちます。相手が年下のときは「それ、すごいね」「その意見は新しいね」と尊重したり、「わからないから教えてくれる?」とより一層、謙虚になったりする大人が、年下からも大切にされるのです。

 もし、身近にマウントしてくる人がいたら、同じ土俵に乗らず、勝負を放棄しましょう。「じゃあ、協力して!」と懐に入ると、味方になってくれることが多いものです。

「立場が上」と感じるときこそ、腰を低くして謙虚になるのが大人の振る舞いです