「察してちゃん」の大人は
コミュニケーションが未熟

 ある職場で、50代の女性上司がいわゆる“察してちゃん”で、まわりは腫れ物に触るように扱っていたことがありました。“察してちゃん”とは、自分の意見や要望を直接言わないのに、相手に気持ちを読み取ってほしがる人のことをいいます。

 たとえば、朝から機嫌が悪く、挨拶をしても目も合わせてくれない、勝手に怒ってドアを強くバタンと閉めて出ていく、「私は知りませんからね」と言い捨てて拗ねる……と子供じみた態度に、「私、なにかした?」と不安になったり、こちらまで腹が立ってきたりします。相手に「こちらの気持ちを察しなさい」というのはムシがよすぎる話。「私はこうしてほしい」とハッキリ言ってくれないと伝わらないのです。

 恋人、夫婦、親子など近しい関係でも、「なんでもない」と言いながら不貞腐れていたり、「なんでわからないの?」と怒り出したりする人は、コミュニケーションが未熟といえます。

 子供というのは、感情をぶつけることで自分を通そうとします。口では敵わず、それでしか、大人をコントロールする方法がないからです。大人になってからも感情を使って人を動かそうとするのは幼稚。言葉をもつ大人であるなら、素直に「こうしてほしい」と口で伝えるべきなのです。

「あなたは~してくれない」ではなく、「私は~してほしい」と、“私”を主語にして伝えるのがポイント。相手に伝わらないのは、自分にも責任があるのですから。

 相手に対して自分の意見や気持ちを伝えられるようになって大人といえるでしょう。

 大人というのは、いつもなにかしら寂しさを抱えている生き物です。

 相手が自分の思い通りにならないのはあたりまえ。わかり合えないこともある。それでも、心を開いてわかり合おうとすることで、信頼関係はできていくのです。

察してもらえなくても、相手の気持ちを察しようとするのも大人です