高齢化、LGBTQ、障がい福祉、
地方創生の領域で成長する

 難しい点は多々あります。主なところでは、儲け方、社会に本当に良いことなのかの検証、その計測などの課題があります。 

 前述した「儲かるか否か」と「社会課題解決か否か」という関係を、もっとブレイクダウンしていくと、市場成長率と受益者負担の可能性の2軸に分けられます。

 市場成長率が高ければ、投資を呼び込みやすく、また市場成長率に伴い自然にビジネスも伸びます。受益者負担の可能性は、要は顧客が相応の代金を払うか、つまり高い客単価を得られるかです。両方とも高ければビジネスとして成長しやすくて投資がしやすく、逆であればしづらい。私たちはいずれの領域でも挑戦しています。

 例えば、深刻な社会課題だけれども、さまざまな政策やムーブメントによって最近ビジネスとしての可能性が高まっている、つまり高単価かつ市場成長率も高い領域でいうと、「ヘルスケア・脱炭素」などが挙げられます。この領域でもいろいろなプロットがありますが、市場成長率が高くて、受益者負担が可能な、一番儲かりやすい領域は、私たちでなくても投資できます。

 私たちは、例えば高齢化、LGBTQ、障がい福祉、地方創生など、必ずしも市場成長率が高くなく、顧客単価もたくさんは取れないような領域をどうやったらビジネスとして成立できるかを実験し、その成立を証明することが自分たちの存在意義と考えています。一見これらの領域はすごく難しそうで、めっちゃ儲からなさそうじゃないですか。でも、意外とちゃんと成長しています。

 そのためにいろいろなご支援をしています。出資者の方との協業を企画したりとか、コミュニティで起業家同士が学び合えるようにしたりとか、出資会社の経営会議に毎月入ってアドバイスしたり、さらなる成長資金獲得のための施策を打ったりなどして、経営のご支援をしたりしています。