このように入れ替わり立ち替わりいろいろな役柄を演じて騙していくのが、劇場型詐欺のパターンです。

 この他にも「重要な書類を失くした」、「会社のお金を横領してしまったので助けてほしい」など、いろいろな騙しのシナリオがあります。

 このように手口はますます劇場の芝居のようになっていますが、それは詐欺グループが被害者に「平常心」でいられないようにして、正常な判断ができないように誘導しているからです。

「オレオレ詐欺」が増えだしたときも、そんな電話に騙されるわけがないと言っていた方も多かったですが、詐欺グループはそんな人も驚かせ、平常な判断ができないようにアプローチしてくるのです。

 最近では、警察官の格好をして直接自宅を訪問し、「あなたの銀行口座が犯罪に使われた。すぐに手続きをとらないと、あなたも逮捕される」などと言うので、カードと暗証番号を偽警官に渡してしまったというケースもあります。

図表:手口別、高齢被害者の割合同書より転載 拡大画像表示

 これまでなら、警察官の格好をした偽物はいないだろうというのが常識でした。偽の警官になるだけで犯罪ですから。しかし、いまの詐欺グループは、詐欺という犯罪をするためには、偽警官になるくらいなんとも思っていないのです。

 これらの特殊詐欺の被害に遭っているのは、やはり高齢者(65歳以上)が大半で、8割近くになります。

電話での詐欺被害を防ぐ心構えとは
1人で判断せずにまずは相談しよう

 では、どのようにして被害に遭わないようにするか。

「オレオレ詐欺」や「架空請求詐欺」、「融資保証金詐欺」など、いろいろな言い方がされてきましたが、電話による「振り込め詐欺」から身を守るには、

●知らない人からの電話には出ないこと。

 携帯電話であれば、発信してきた番号が通知されますから、知らない電話には出ないようにします。

 また家の固定電話であれば、番号通知サービスの機能がついたものに変えて、「○○さんから電話です」という案内を確認してから出るようにします。