移民排斥の運動が
欧米で起きる背景

 さらに言えば、大学卒業レベルの人口が1000万人の国より、同じく大学卒業レベルの人口が2000万人の国のほうが経済はうまく回ります。基本的には、人間社会は大体この公式に当てはまります。

 この流れで見ていくと、冒頭に説明した人口減少の傾向にありながら、一部の先進国では人が余り始めています。

 どういうことかというと、今、アメリカやヨーロッパで移民排斥の運動が起きているのです。労働者が多いほうがその国は豊かになるはずで、そのためにアメリカも毎年100万人という数の移民を受け入れていたわけですが、それがなぜここにきて移民排斥という流れに変わってきたのでしょうか?

 アイスランドの例を見てみると、もともと国土面積に対して人口が少なすぎたために移民を大量に受け入れ、移民を歓迎しています。土地が余っている国では、今でも移民を歓迎しているのです。

 同じく100年前のアメリカも、広大な国土の割に人口が少なかったため、移民をどんどん受け入れました。そして土地を耕したらそれは自分のものにしていいぞという許可を与え、その結果農地が全国的に広がり、経済的にも豊かになっていったのです。

 この土地を「耕す」という作業は、小学生でもできるものです。かつて日本でも児童労働というものがあり、子どもを鉱山で働かせたり、畑の農作業を手伝わせたりしていました。今は機械が行っている作業ですが、機械化される前は小学生でも労働力としての価値があったのです。

 もちろん今は、児童労働は禁止されています。しかし仮に小学生にできる仕事がどのくらいあるかといえば、ほとんどありません。小学生でもできるような単純な仕事は、すべて機械化されているからです。

 たとえば、日本でもマクドナルドの一部店舗では、注文がタッチパネルのでかいやつで行われています。