「もっと自分らしく生きたい…」
多くの人がそう思いながらも実現は難しい。
本連載では、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏が、悩まない人になるコツを紹介する。
いま「現実のビジネス現場において“根拠なきポジティブ”はただの現実逃避、“鋼のメンタル”とはただの鈍感人間。ビジネス現場での悩み解消法は『思考アルゴリズム』だ」と言い切る木下氏の最新刊『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
そろそろ“自分らしく生きる”という言葉に飽き飽きしていないだろうか。世の中にあふれる自分らしさという言葉の裏側には、どんな罠が隠されているのか。本稿では、自分らしさに潜む落とし穴と、本当の幸せを見つけるためのヒントを紹介する。(構成/照宮遼子)
自分らしさに囚われている人の末路
よく“自分らしく生きよう”ということを言う人がいますが、私は自分らしく生きなくていいと思っています。
そもそも、自分らしさ満載という人は、なかなかいないのではないでしょうか?
「自分らしさって一体何だろう?」と、自分に何もないから自分らしさを探してしまうのです。
自分らしさと幸せはイコールではなく、自分らしく生きて幸せな人もいれば、自分らしく生きているわけではないけれど幸せな人もいます。
今、イキイキしている人たちは、自分らしさが見つかったからイキイキしているわけではないのです。
もちろん、いろいろやっていくうちに、自分らしくなっていったという人はいるとは思いますが、自分探しをして明確な自分が見つかった! と言って、幸せになった人はあまり見たことがありません。
自分探しのゴールは、自分が見つかることではなく、自分探しをやめることです。
自分らしさは幻想? 仕事をするうえで大切なこと
たまたま高い能力を持って生まれたとしても、単に上手にできるからとやっていたら、生活していけるようになったという場合、その能力を自分らしさとは特に感じていないことが多いです。
仕事をするうえでは、自分らしさはそれほど重要ではなく、社会で求められることをやっていくことのほうがはるかに重要です。
多くの人は、才能や長所、性格は、持って生まれた変えられないものだと思っています。
でも、自分らしさにこだわるあまり、自分を変えられないと思っている人ほど、悩むことに時間を奪われてしまいます。
自分らしい生き方として、独立起業に憧れる人がいるかもしれませんが、一説によると起業後の失敗確率は94%。それをわかったうえでやるならかまいませんが、基本的に私は起業をあまりおすすめしていません。
決して好きなときに休めないですし、休んだ場合はその分収入が減ってしまいます。休んでもお金をもらえるのは、会社員のいいところではないでしょうか。
自分らしさにとらわれず、未来を切り開く方法
あなたが今、レベル8の状態でレベル10を目指すなら、自分の強みを活かしたほうが圧倒的に手っ取り早いでしょう。
しかし、レベル8の状態からレベル100を目指すなら、今までの強みなんて正直どうでも良くなってしまいます。
少し厳しいことを言いますが、自分らしさをベースにしようと考えている人は、今までのちっぽけな自分が培ってきたもので勝負しようとしている人なので、目標が低いと言わざるをえません。
これからレベル100の世界に挑戦しようと思ったときに、今までに培った自分らしさだけでは到達するのは難しく、失敗するのは目に見えています。
一方でレベル100を達成した人たちは、自分らしさなんて全く関係ないやり方で成功しているのではないでしょうか。
悩まない人は、自分らしく生きるなんて実はどうでもいいと思っていて、これまでの自分のやり方を変えることに何の躊躇もありません。
理想の姿を持ち、自分らしく生きようという呪縛から抜け出すことが、悩まない人になるための近道なのです。
(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による特別投稿です)