25年卒学生の実際の就職内定率を見ると、2月1日時点で23.9%と、24年卒の19.9%から増加しており、企業の選考、内々定出しの早期化傾向が続いています。つまり、12月や1月、あるいはそれ以前から、学生の就職活動の準備にかける時間が増えている可能性が考えられるのです。

選考プロセスを柔軟に選べる
理想的な「今どき就活」の在り方

 企業の選考、内々定出しの早期化傾向は、これからも続くことが予想されます。卒業年次前年の早い段階から、自己分析や企業研究、インターンシップへの参加など、取り組むことが多く、負担感を抱く学生も少なくないでしょう。

 一方で、就職活動でのオンライン活用が定着したことで、学生は学業やプライベートの時間をより確保しやすくなったとも言えるかもしれません。説明会のオンライン視聴は、オンデマンド(動画配信)形式が多く、学生はスケジュールが空いたタイミングを有効活用して情報を得ることができます。時間、場所を選ばず企業研究を進められるようになったことは、オンライン化がもたらした大きなメリットでしょう。行動量を担保しながらも交通費や宿泊費などの出費を抑えられるところは、特に地方在住の学生には歓迎すべき変化と言えます。

 対面の選考機会が増えたことで、就職活動費用は増加傾向にあり、「交通費」の平均金額は前年より増加した地域も多くあります。ただ、コロナ禍前の20年卒と比べると、「近畿」を除き、約5割の金額に留まっています。学生の費用や時間の使い方が変化する中で、例えば選考プロセスによって参加形態を柔軟に選べるなど、企業と学生双方のニーズが一致するような就職・採用活動の発展を期待しています。

(リクルート就職みらい研究所所長 栗田貴祥)