ユニクロ中国工場の劣悪な労働環境
柳井正「びっくりで残念」にびっくり

 柳井正のウソはこれだけにとどまらない。

 香港のNGO団体が2015年、ユニクロが生産委託をしている中国の2工場に潜入し、その劣悪な労働環境を暴いた。詳細な報告書を出し、基本給が最低賃金以下であることや、月の残業時間が100時間を超えていることなどを指摘した。

 これに対し柳井はテレビカメラの前で何と語ったか。

「今まで監査をやってきたんですけど、あのような現状があるということ自体、非常にびっくりしているし、残念だと思っています。事実かどうか、確認しなければいけない。今回は例外で、中国の労働環境は決して悪くない」

 このコメントには、私の方がびっくりした。

 中国での劣悪な労働環境については、私が『ユニクロ帝国の光と影』で指摘し、裁判の争点となり、すでにユニクロ側が敗訴していた。

 さらに、ユニクロが毎年発行している「CSRレポート」では、ユニクロの海外の170工場のうち、労働環境の監査の結果、問題なしだったのはわずか10工場のみ。9割以上の工場には何らかの問題があり、「重大な指摘事項」があった工場も65工場にのぼっている。

 この自社の報告書を柳井が知らないはずがない。にもかかわらず、NPO団体の指摘をはじめて聞くかのようにびっくりしてみせることができるのだ。