前者は箇条書きで情報が並んでいる場合と、それに加えてグラフや絵が詰め込まれている場合がある。

論理的なつながりや物語がなく
箇条書きが羅列した資料

 よく出てくるのが、ただ箇条書きが論理的なつながりや物語がなく羅列されている資料だ。例えば図表2-1のような形だ。

図表2-1同書より転載 拡大画像表示

診断項目(1)目的が書かれているか?:NO

 上部には「X社の事例紹介」と一応書かれているが「X社の事例紹介」は目的として不適切である。果たして事例を踏まえて何を知りたいのかが分からないためだ。

診断項目(2)結論が書かれているか?:NO

 この資料は結論も明示されていない。箇条書きで書かれている情報で推察できる結論は複数ある。「X社はITサービスAを導入したから調達費用が下がった」「今、サービスAを導入すればお得」「サービスA浸透のためには社内にITスペシャリストとサポートが必要」等々、どれが、今伝えるべきことなのだろうか?

診断項目(3)根拠が書かれているか?:NO

 結論が定まっていないのだから、結論に辿り着いた根拠が書かれているのかは判断できない。かつ、この箇条書きの多くは、結論の候補の羅列だ。

 結局、目的が曖昧なことに全てが返ってくる。「ITサービスA導入の効果」を知りたいのか、「効果を得るために必要な行動」を知りたいのか、「導入費用」を知りたいのか。この資料は目的がよく分からないので、並べられた情報から何を判断していいかが分からない。