具体的に20代男性の持続度の指標を見てみると、和歌山県は前年の62.9点から71.5点に、福井県が53.8点から65.1点に、徳島県は54.3点から61.7点と、それぞれ上昇している。

 これらの変化には、地域のイベント再開や観光名所の活性化が影響していると考えられる。たとえば、北陸新幹線の開通、阿波踊りの再開、アドベンチャーワールドの人気など、地域経済の貢献だけでなく、地元の若者にとっても社会的な活動や楽しみが「誇り」として感じられるようになったのではないだろうか。

生活満足度は香川県が初の1位に
「満足」の定義が変わった?

「あなたは今の生活に満足していますか」という問いに対し、全回答者平均では「とても満足」が10.9%、「おおむね満足」が42.9%で、半数を超える53.8%が満足していると答えた。しかし、これらの割合はいずれも前年よりも減少している。

 一方で、「あまり満足していない」は16.5%、「全く満足していない」は9.2%と満足していない人が25.7%もおり、前年よりも増加している。

 その中で、生活満足度が最も高かったのは香川県(61.6点)。次いで2位が宮崎県(61.5点)、3位が和歌山県(61.4点)となった。いずれの県も点数が前年よりも低下したものの、順位は大幅に上昇している。

 田中社長は、「生活満足度が、何に基づいているのかが変わった可能性がある。以前は、交通の便や居住スペースなどの便利さが満足度に強く影響していたが、最近では若い人たちの地方での農業や伝統工芸、観光関連などの仕事に対する意欲が高まっており、それが地域居住者の満足度向上につながっていると思われる。仕事に対する価値観の変化が、地域の持続性の変化につながっているのではないか」と分析する。

 さらに、「今回の調査では、定住意欲度と収入への満足度は、ほとんど相関していない。むしろ逆相関、つまり収入への満足度が高い人ほど、移住意欲が高いという結果になっている。地域での生活は、家族との絆や友人・知人関係、健康、仕事に対するやりがいなど、収入以外の部分が大きく影響しているようだ」と語った。

 これまでの、「良い会社=満足できる会社」という概念が変わり、単に良い条件が満足度に結びつかなくなっている。満足する条件として、ストレスの少ない環境がますます重視される傾向が強まっているようだ。