「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすること。稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』では、余すことなく珠玉のメソッドを公開しています。受講者は6000人に及び、その9割が成功。さぁ、新しい働き方を手に入れましょう!

「退職金の使い道ベスト3vsワースト3」で人生が決まるPhoto: Adobe Stock

銀行が掘った「落とし穴」は、素人には見えない

 将来受け取る退職金の使い道について、真剣に考えたことがありますか?

「まだ先のことだから、そのときに考えれば大丈夫」と思われるかもしれませんが、「落とし穴」だらけなので危険です。特に銀行が掘った「落とし穴」は、素人には見えないので、あらかじめ学習しておきましょう。

 退職金の使い道は、1位「預貯金」、2位「日常生活費への充当」、3位「旅行等の趣味」、4位「住宅ローンの返済」、5位「資産運用のための金融商品の購入」ですが(*1)、銀行絡みの項目が3つもランクインしています。

 私は30年近く、融資や資産運用のアドバイスをしてきた元銀行員です。本部の企画部門や営業推進部門にいたときには、セットプランという「落とし穴」商品の企画を掲げて全国の支店にノルマを割りあて、支店長を鼓舞してきました。

 その一方で、私自身が退職金などの大金を受け取る際に、銀行から営業攻勢を受けてきたので、銀行員の気持ちも顧客の気持ちもよくわかります。私が退職金を受け取ってからすでに9年が経過し、経験者としてのノウハウも蓄積されました。そこで、「銀行の営業マン」「銀行の企画担当」「銀行の営業推進担当」「退職経験者」という4つの立場をすべて経験して見えてきた「退職金の使い道ベスト3vsワースト3」を披露させていただきます。

ベスト1とワースト1は銀行窓口で売っている

 すぐに使う予定がない「退職金の使い道ベスト1」は個人向け国債の「変動10年」です。なぜなら、世界一リスクが低いのに、定期預金より金利が高いからです。若い人の場合には長期分散投資が基本ですが、高齢者には長期分散投資するだけの時間的な猶予が残されていません。したがって、退職金で生活費を補う予定の人は「変動10年」一択です。1年経てばいつでも中途換金できるので、年金で足りないぶんだけ普通預金に確保しておけば、生活費や住宅修繕費を賄えます。なお、日本は高額療養費制度が充実しているので、医療費の心配はいりません。

 これに対する「退職金の使い道ワースト1」は、投資信託やファンドラップのような「手数料の高い投資商品」です。退職金は銀行口座に振り込まれますが、あなたの口座に大きな資金移動があると、支店長以下に即座に知らされます。その瞬間から投資信託やファンドラップ、退職者特別プランなど金融商品の営業攻勢が始まる、という仕組みです。リスクが大きいうえに、目が飛び出るほど手数料が高いので、割に合いません。そのことを熟知している銀行員は、自分の退職金を投資信託やファンドラップに委ねたりはしません。

 特に気をつけなければならないのが、定期預金と抱き合わせたセットプランです。3ヵ月満期の定期預金を使っているにもかかわらず、1年金利を表示して金利を高く見せかけて、投資商品と抱合せて販売する手法です。投資商品の手数料のほうが圧倒的に高いので、トータルでは顧客が損をして、銀行だけが儲かる仕組みになっています。金融商品に疎い情報弱者の無知につけこんだ詐欺まがいの商品ですので、気をつけましょう。

ベスト2とワースト2は趣味や旅行などの娯楽関連

 老後の生活費を国債の形で確保しておけば、まずは一安心です。あとは、人生の質を高めるコトにお金を使いましょう。どんなに貯め込んでも、お金は墓場までは持っていけないので、有意義に使いましょう。

 人生の質を高めるといっても、趣味や旅行、ライフワークなどは千差万別ですし、個人差もあります。

 そこで、特にこだわりがない場合には、「退職金の使い道ベスト2」として、「家族や仲間との思い出作り」をお勧めします。その筆頭格が「旅」です。

 75歳を過ぎると、気力・体力・健康が衰え始めるので、思うように旅ができません。そこで、まだ動ける60代のうちに「旅」をして思い出を量産しておきましょう。そうすれば、後期高齢者になってからもずっと、写真を眺めながら懐かしい思い出に浸れます。お迎えがくるその日までずっと、幸せを感じ続けることができるのです。

 私たち夫婦も、退職後の9年間で南米とアフリカを除く世界数十カ国と45都道府県を旅して、写真換算で1万枚以上の思い出を蓄積しました。そのおかげで老後の楽しみも増えました。

 もちろん、だからといって「超豪華旅行」をしてしまうと、その瞬間に「退職金の使い道ワースト2」に転落します。私たち夫婦も一泊数十万円の宿に泊まったり、スイート船室で長期間クルーズしたこともありましたが、感動の大きさは旅行代金には比例しませんでした。それよりも、Googleマップとにらめっこしながら手作りした自由旅行のほうが圧倒的に楽しかったのです。身の丈にあった旅を数多くこなすほうが、良質な思い出を量産できるようです。

ベスト3とワースト3は「○○投資と□□投資」

 退職と同時に転がり込むのは大金だけではありません。持て余すほどの時間が手に入ります。お金と時間が同時に転がり込むと、人は不思議なくらい株式投資に走ります。お目当ての株をじっくり分析できるし、株価ボードを見ていると暇つぶしできるからなのかもしれません。

 でも、株やFXは「退職金の使い道ワースト3」なので、お勧めできません。パチンコや競馬のようにビギナーズラックで儲かることもありますが、多くの人は含み損を抱えて慌てます。ファンドマネージャーでさえも儲けるのは難しく、顧客からいただく手数料で稼がざるをえない厳しい世界です。「ちょっとだけなら……」と気を抜いた途端に、ギャンブルのようにハマって軍資金を失うので、退職金は株式投資には向きません。

 もし投資をするとしたら、自分に投資してください。それが「退職金の使い道ベスト3」です。会社員も公務員も、人生の大半を勤め先に捧げてきました。そのため、心底やりたいこと(ライフワーク)を犠牲にしてきたはずです。セカンドライフは20~30年続きますので、せめて人生の後半だけでも自分に投資してライフワークを極めましょう。今現在ライフワークが見つかっていない人も、「神ふせん」を使って「人生の目的」を言語化すると、簡単に見つかります(*2)

 やりたいライフワークが決まったら、関連本を読み漁りましょう。すでに実践している人も大勢いますから、セミナーなどで実践者から学んだり、サークルやコミュニティーに入るとよいでしょう。ライフワークを極めると、「やり方」を教えて稼げるようにもなります。これを「稼げるライフワーク」といいます(*3)

 可能であれば、40代や50代のうちに「稼げるライフワーク」を見つけましょう。すると、セカンドライフに移行しやすくなるだけでなく、副収入も稼げます。早ければ早いほど有利だということ。まずは関連本で基本を押さえたうえで、情報収集から始めましょう。

参考文献
*1 60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査報告書(一般社団法人投資信託協会)ご参照
*2『やりたいことが絶対見つかる神ふせん』
*3『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい』

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。