YouTube配信の好評コーナーが追い風に
75歳名物編集者と661ページのチェックを敢行
――それにしても『本業2024』は、出版業界の流れに抗うような661ページもの分厚い体裁ですね!『本業』を増補復刊することになったいきさつは、YouTubeだったとか?
議員を辞職して、病床から何とか這い上がってから毎日昼1時間、夜2時間、YouTubeで配信を始めました。その中で、自著の朗読コーナーを設けて『本業』を読み上げていたら、好評だったんです。
すでに亡くなっているタレントさんもいますし、色々な人生の経過もあるので、それが面白かったみたいで。そうしたら、YouTubeを観てくれていたフリーライターさんが、「本にしてみては?」と青志社に企画を持ち込んでくれて、出版されたという経緯です。
ただ、そのまま復刊するんじゃなくて、これまでに書いた映画評や格闘技評を全部入れようと思ったら、1200ページぐらいになっちゃって。さすがに、これは分厚すぎるってことで、そっちは続編として出そうと。
もう9割ぐらいは完成していて、700ページぐらいあるんですよ。タイトルは、『文業』で、今回の本と同じ青志社の阿蘇品社長が「ぜひ、うちから出したい」って言ってくださって。
――阿蘇品社長は芸能本を長く手掛ける第一人者だということ、博士もSNSやnoteなどでたびたび書かれていますね。
運命というか、僕の言葉でいうと「星座がつながる」感じがありましたね。今回の企画は事務所に内緒でこっそり進めようと思って青志社に打ち合わせに行ったら、事務所と同じビルだった(笑)
僕が所属するTAPが7階、青志社が6階で。秘密裏に進めようにも、エレベーターなんかで事務所のスタッフとか枝豆社長に会っちゃうから、諦めました。
次の『文業』についても、阿蘇品社長にその構想を語ったら、社長の奥様の名前が「文(ふみ)」でね。ちなみに、ぼくの娘の名前は尊敬する高田文夫先生からいただいて、同じ「文」って言うんで、本をつくる過程でもそういう星座がつながることがあるんだなって。
さらに、ちなみになんですけど、阿蘇品社長って矢沢永吉さんが通った高校の2年先輩なんですよ。当時、社長はインターハイレベルのアマチュアボクサーで、不良も手を出せないぐらい強くて、校内でも有名だったんですって。いつも後楽園ホールの横のジムにいて、当時のバンタム級はすごかったんですけど、日本チャンピオンが来たらスパーリングの相手をやってたっていう。
まぁ、業界ではめちゃくちゃ有名な人物ですからね。田原総一朗さんの90歳パーティーに行ったら、出版関係者から「今、阿蘇品さんとお仕事されているんですよね?」とか言われるぐらい。
年齢が75歳なんで、あんまりネットとか使えないから、「博士さん、男同士、紙で勝負しましょうよ」って言われて、この本の原稿は全て出力した紙で文章チェックをやってました。だけど、2人とも老眼だから誤植が100カ所ぐらいあったんですけど(笑)。
豪快な人なんで、突然電話してきて、「この部分、20分以内に修正して送ってください」とか(苦笑)でもまぁ、それぐらい熱量がある人の方が、僕は適温なんですけどね。