例えば、夏休みになれば子どもたちは毎日プールに行き、虫取り網やカゴを持って野原をかけまわるといった、子ども時代にしか味わえない遊びが経験できる。子どもの将来を考えたとき、E子さんは迷わず後者を選んだ。

「今、子どもたちの勉強は学校の授業がすべてです。『放課後に学習塾に通わないと将来的に高校受験のときに不利になるのではないか』と、不安を抱く親御さんも多く、学習塾を開設するように自治体や会社に働きかけたほうがよいのではないかと、親同士で話し合うこともありました。

 でも、親が一方的に子どもに勉強を押し付けて、頭の中に詰め込むやり方では、何ひとつ身につかない。子ども自身が目標を持って『これを学びたい』『もっと知りたい』と思ったときに、親は子どものやる気をサポートするほうが大切だと思い、ママ友たちにもそう話をしたことがありました。

 長女は今、中学生で反抗期真っ盛りですが、『勉強しなさい』『宿題をやりなさい』と、言いたい気持ちをグッと抑えて、テストの結果が悪かったとしても、自分の目標に向かって頑張るようにと励ましています」

 Eさんは子どもの自主性にまかせた子育てを心がけている。この教育方針の反面教師となったのは実母(70代半ば)だ。

 E子さん自身は“受験”の苦い経験がある。小学2年生の三学期、中学受験を目指す学習塾の入塾試験に受かってしまったことがきっかけで、母のスパルタ教育が始まった。