三菱・三井・住友 揺らぐ最強財閥#8Photo:PIXTA

戦後の復興や高度経済成長期の土台となり、日本経済をけん引してきた財閥系企業。外資系企業などの就職人気が高まる中でも、安定性と知名度を求めて財閥系の門戸をたたく就活生は後を絶たない。特集『三菱・三井・住友 揺らぐ最強財閥』の#8では、三菱、三井、住友の三大財閥系の主要21企業における最新の採用者データから、財閥系に強い出身大学の傾向をつまびらかにする。(ダイヤモンド編集部 澤 俊太郎)

財閥系人気根強く
採用事情には変化も

 高給、安定、知名度――。

 就職の「勝ち組」と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべる要素が財閥企業にはそろっているといえる。大企業に入れば生涯安泰という時代は終わったが、いまだに就活生にとって、財閥の看板は魅力的に映るはずだ。

 ただ、大前提として高収入かつ知名度のある企業への就職は狭き門であり、必然的に難関大学出身者が上位を占める比率も大きくなってきた。

 特に財閥と結び付きが強いのが慶應義塾大学である。創設者である福澤諭吉は三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎といわば盟友関係にあったとされる。慶應出身者たちも三菱財閥に続々と入社し、その急成長に大きく貢献した。

 一方、福澤のおい、中上川彦次郎は1891年に三井財閥の三井銀行に入行。慶應出身者の大量採用を進め、傘下の企業へ経営者として送り込むなど、急進的な改革を実行し、財閥の勢力を拡大した。

 こうした背景もあってか財閥系企業は、学閥が幅を利かせているイメージを抱く人も少なくないだろう。しかし、財閥が戦後の日本経済をけん引し、存在感を強め続けていた時代は終わり、その影響力にも衰えが見え始めている昨今、財閥系企業の採用事情には変化も出ている。

 では、その変化とは。次ページでは主要21企業の最新の採用データを読み解いていく。三菱商事、三井物産、住友商事といった商社に加え、三菱UFJ銀行、三井住友銀行などの金融機関、三菱地所や三井不動産、住友不動産といった不動産などの採用の傾向とは。実は、足元の採用動向を分析すると、慶應や早稲田、東京大学だけでなく、明治大学などのいわゆるMARCHでも食い込めるチャンスのある財閥系企業も浮かび上がってきた。