「あなたは職場では、仕事に合理性ばかり求められていませんか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で、働き方改革、組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」には共通する時代遅れな文化や慣習があり、それらを見直していくことで組織全体の体質を変える必要があると気づきました。
その方法をまとめたのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』です。社員、取引先、お客様、あらゆる人を遠ざける「時代遅れな文化」を変えるためにできる、抽象論ではない「具体策が満載」だと話題。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「合理性だけ求める職場」の問題点について指摘します。
面白さに対する感度がない組織
仕事を選ぶ際に推奨したいのが「面白さ」なる尺度だ。
あなたの職場の人たちは面白さの感度を持っているだろうか。さらには、仕事において面白さを主張してもいい空気があるだろうか。
「職場で面白さを主張するなどもってのほかだ」
「効率や客観性、定量的な効果に真摯であるべきだ」
世の中にはそのような人もいる。それも一理ある。業種や仕事の種類によっては、面白さなどの感情を抑制することでうまく回っている部分もあるだろう。
一方で、面白さを含むポジティブな感情の否定は、メンバーの好奇心や探求心、チャレンジマインドを排除したりもする。人は面白いことや楽しいことを好む生きものでもある。楽しさや面白さの排除は仕事に対する主体性やエンゲージメントをも下げかねないのだ。
「ジョブ・クラフティング」という考え方
近年、ジョブ・クラフティング(Job Crafting)という考え方がある。一人ひとりが自分の仕事の意味・内容・範囲などを修正し、仕事に主体的に向き合うことを指す。
日本能率協会マネジメントセンターは、ジョブ・クラフティングを次のように定義している。
この観点においても、面白さを尊重したい。
面白いから、仕事に対するオーナーシップ(自分ごととして捉えている状態)が芽生える。
面白さは個の組織や仕事に対する主体性や創意工夫を引き出し、ジョブ・クラフティングを推し進め得るのだ。