自民は消去法、立民は返り咲き、火ぶた切る「政局動乱」の第2幕9月23日の立憲民主党の臨時党大会で代表に選出され、記者会見で質問に応じる新代表の野田佳彦。野田の代表就任は自民党総裁選に影響を与えた Photo:JIJI

「私は本気で政権を取りにいく覚悟であります。戦いは、もう今日から始まります」

 9月23日の立憲民主党の臨時党大会で代表に選出された元首相の野田佳彦(67)は、早期の衆院総選挙を前提に臨戦態勢を宣言した。立民を追い掛けるように自民党の総裁選が展開され、政治は新しい局面に突入した。しかも前例のない与野党の第1党による「ダブル党首選」の結果、首相経験のある野党党首と首相経験のない自民党総裁が激突する初めての衆院選の構図が固まった。

 これほど衆院選を急ぐ背景には自民党の強い危機感がある。中でも辞めていく首相の岸田文雄にその思いが強かった。

「自民党が勝つために自ら身を引いた。そのためには選挙が早い方がいい」

 周辺にこう語っていた岸田は早々に臨時国会召集日を10月1日に決めた。この召集日なら9日衆院解散、15日公示、27日投開票の日程が可能だからだ。岸田には自らの成功体験がある。3年前の9月29日に自民党総裁になった岸田は10月4日に首相に就任。その日の記者会見で衆院解散の意向を表明、選挙日程まで明言した。支持率が低迷していた自民党は公明党と共に政権を維持した。

 逆に2008年9月の総裁選でトップリーダーになった麻生太郎は、前任首相の福田康夫の意向を無視して解散を先送りした。総裁選の告示直後に国際経済を大きく揺るがしたリーマンショックに遭遇したためだ。