気軽に推しへの想いをSNSへ投稿できる今、大量に流れてくる言葉の渦に飲まれ、他人の発信する意見や感想に引っ張られて自分の感想がブレてしまうことも……。そんな時代において大切なのは、他人の意見と自分の意見の「違い」に自覚的になること。推しに対する自分だけの感情を見失わないコツを、書評家の三宅香帆氏が解説する。※本稿は、三宅香帆『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』(ディスカヴァー携書)の一部を抜粋・編集したものです。
「自分」と「推し」との間に
他人の感情を混ぜる必要なくない?
他人の言葉と被るから自分の言葉を引っ込める。
他人に規制されるから自分の言葉を引っ込める。
他人に影響されることで自分の言葉を引っ込める。
他人の存在によって、自分が語ろうとする「推しについて」の言葉を止める。
SNS空間では(たぶん私たちの実感以上に)たくさんの人の言葉が目についてしまいます。だから、あらかじめ他人の反応を予測して、自分の言葉を手放してしまいたくなることもある。
でも、考えてみてください。
「他人の感情」って、「推し」と「自分」との間で、なんの関係もないですよね。
ここで言う「他人の感情」とは、自分と同じものを好きなファンの言葉だったり、世間の声だったりしますが……自分と推しとの関係に他人の感情を入り込ませる必要、なくないですか?
むしろ他人の影響で、推しに対して培ってきた自分の言葉が崩れるのは、もったいないです。